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萩原研二人守の話 ページ18

加州と五虎退に連れられ京都の穴場スポットを巡っている最中、松田が萩原に声をかけた。


「なぁ、やっぱりお前あいつの妹かなんかなんだろ?」


"あいつ"と松田がこぼす相手は間違えようもなく萩原研二。

その言葉に反応した緑川と伊達も萩原の答えに耳を傾ける。


「違うって。

全く松田は疑り深いんだから。」


加州のやっていたようにほほを膨らます萩原に松田は眉を寄せる。


「じゃあどんな関係なんだよ。」


「だから彼の守りたいものを守るために私がいるんだってば。

それ以上でもそれ以下でもないの。」


答えをはぐらかす萩原に松田はさらに苛立ったように眉間のシワを増やす。


「見ず知らずの人間の守りたいものを守るなんてお人好しにもほどがあるだろ。

俺が聞きたいのは何でそんな関係になったか、だ。」


萩原は追求してくる松田に困ったように眉を下げた。


(相変わらずこいつしつこいんだよなぁ…

しょうがないか。

それがこいつのいいところで悪いところなんだから…)


そこまで考えてから萩原は降参したように手をあげる。


「わかったわかった。

じゃあ話そうかな私と"俺"のこと。」


ふふっと笑う萩原に警察学校組は視線を向けた。


「私はね彼と2人で1人ってくらいの間柄。

私は彼で彼は私。

生まれたときからずっと一緒。

彼は警察官になりたがった。

私は誰かを守れる人になりたかった。」


楽しそうに笑う彼女に彼らは複雑そうに見つめることしかできない。

何故なら彼女が語る萩原はもうこの世にはいないのだから…


「悲しそうな顔しないでよ。

でもね、夢を叶えた彼とちがって私は自分の夢がつかめないでいたんだ。

だから彼の守りたかったもの、国とか町とかそんな大それたものじゃなくて貴方達を守るために私はここにいるの。

それが私が今ここに来る前に彼に誓ったこと。」


松田は彼女に初めてあったときの事を思い出した。

親友の墓の前で泣いていた彼女。

あの時にそんなことを誓っていたなんて思っていなかった。

国を守りたいだとか町を守りたいだとか市民を守りたいだとかあいつだったらそう言うだろう。

だが彼女はそんな大きな事を言わなかった。

手にあるものを、自分の手の届く範囲を必ず守ると言った。

両手で守りきれないものを守ると誓うよりももっとずっと難しいそれを彼女は言い切ったのだ。

それなのに松田にはどうしたって彼女の背中が今は亡き親友に見えてしかたがなかった。

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吹雪(プロフ) - コメント感謝しますm(__)m返信、更新ともに遅れて申し訳ないです。これからもよろしくお願いします! (2018年10月15日 10時) (レス) id: 4e2a82a17c (このIDを非表示/違反報告)
- とても面白いです!更新楽しみにしています(^O^) (2018年10月8日 15時) (レス) id: 43f343ee39 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:吹雪 燐 | 作成日時:2018年10月2日 20時

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