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昔、江戸の終わりの頃新撰組に沖田総司という人物がいた。

彼は剣術の腕に優れているだけでなく、人望も厚く、さらには容姿端麗であった。

そんな彼は一度戦場に出ると敵に対して容赦も情けもなく冷徹な表情を持つ1面もある。

彼には2人の相棒と呼べる人物がいた。


性格に難があった2人は他の人々には受け入れられなかったが沖田は彼らを心から信頼し命を預けていた。

そして彼らもまた沖田を愛し命をかけ守ると誓った。

彼を愛していた彼らは顔を会わせればお互いに文句をいいながらも楽しそうに日々を過ごしていた。

ある日、新撰組は池田屋に攘夷浪士の討ち入りに入ることになる。

2人のうち1人が選ばれ沖田とともに池田屋に討ち入ることになった。

その日も2人はいつものように軽口を叩きながら笑顔を見せる。


「じゃ、行ってくるね。

俺たちのことだから相手なんてすぐに倒して帰ってくる。

だから大人しくしとけよ、メンヘラ。」


「誰がメンヘラだ、ブス。

…沖田くんのこと頼んだぞ。」


不安そうに眉を寄せた相棒の眉根をグリグリと押しながら彼はニコッと笑った。


「分かってるって。

それじゃあ行ってきまーす。」


振り替えることなく手を振り去っていった相棒を残された彼はずっと見ていた。

そしてそれが彼を見た最後となってしまった。


池田屋での戦闘の最中、沖田は病により血を吐いた。

苦しそうにもがく沖田に攘夷浪士達は容赦なく襲いかかる。

彼は沖田を守るために前に出てそして…


再起不能になった彼がもう治ることはないと聞いた沖田は彼のもとを離れていった。

捨てられた形になった彼は誰に看取られることもなく静かにその生涯を終えた。

また、沖田は病により床に伏せ彼の後を追うように息を引き取った。

相棒の死にも愛した人の死にも立ち会えなかった残された相棒は帰ってくるはずのない彼らを想い涙を流した。

彼らの中に悪い人物などいなかった。

捨てられた彼も捨てた彼も置いていかれてしまった彼も誰1人として…


彼の死も沖田の病も決して覆ることのない運命だった。


そうして3人は離ればなれになってしまった。

それが彼らに起こった悲しい物語であった。

3→←加州清光の話



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吹雪(プロフ) - コメント感謝しますm(__)m返信、更新ともに遅れて申し訳ないです。これからもよろしくお願いします! (2018年10月15日 10時) (レス) id: 4e2a82a17c (このIDを非表示/違反報告)
- とても面白いです!更新楽しみにしています(^O^) (2018年10月8日 15時) (レス) id: 43f343ee39 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:吹雪 燐 | 作成日時:2018年10月2日 20時

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