鍛練 ページ1
「はいそこ！
脇が甘いよっ！」
「いっ！」
鍛練場で加州は木刀を片手に萩原と打ち込みをしていた。
あの後萩原の申し出で朱雀のスパルタ教育の下彼は変化をマスターすることができた。
朱雀は萩原がそれらをマスターできると同時に五虎退をつれて出陣にいってしまった。
寝る間も休む間もなく出陣し続ける朱雀に降谷は首をかしげながらも好きにさせていた。
怪我をすれば必ず手入れ部屋の使用を申請しに来ることも放っておくうちの１つだが何よりも彼から“強くなりたい”という思いが溢れていたからかもしれない。
「で、婆さんは今錬度どれくらい？」
加州は襖にもたれながら鍛練の様子を見ていた彼に声をかけた。
「七十と二つだな。
それより萩原を借りてもよいか？
出陣しに行く。」
「え、今から！？」
ゼーゼーと息を吐く萩原は心底嫌な顔をした。
「朱雀さんさっきまで出陣してたじゃん！
ちょっと休んでからにしよ！？」
わめく萩原を朱雀は美しすぎる笑顔で見つめて口を開く。
「わめく元気はあるな。
悪いが時間がない。
そなたにも俺にもな。
故に嫌でも強くなってもらうぞ。」
少し寂しそうに見えた彼の声音に萩原は首をかしげる。
「それってどういう……
ちょっと待って！
何で引きずってるの！？」
「さて、かんすとするまで走るぞ！」
賑やかに出ていった二人を残された加州は黙って見つめていた。
「加州様。」
ふと声をかけられそちらに目を向けると五虎退が笑顔を浮かべて立っていた。
「もう、すぐだね。」
「はい。」
二人はそれ以上を語らずぼうっと外をみる。
降谷の霊力が作り出した美しい庭に本丸の象徴とも言っていい桜がサアッと風を受け花びらを飛ばす。
「綺麗だ。」
「はい、とても。」
五虎退は加州の言葉に相づちをうつ。
「あの時も綺麗だった。
俺たちの本丸はどこの本丸にも負けないくらい」
「……そうでしたね」
あくまで淡々と語るその声に悲しみや寂しさはない。
幸せだった頃を思い出すように噛み締めた言葉だった。
「綺麗なものはあっというまに壊される。
零君も、本丸も、婆さんも……
五虎退、俺は全部が終わったら「お供します。」……そっか。」
「僕は側にいます。
なにがあっても、絶対に」
そういって拳を付だした五虎退に加州はコツンと拳を当てる。
京都まで後二日となった。
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吹雪(プロフ) - コメント感謝しますm(__)m返信、更新ともに遅れて申し訳ないです。これからもよろしくお願いします！ (2018年10月15日 10時) (
レス) id: 4e2a82a17c (このIDを非表示/違反報告)
泉 - とても面白いです！更新楽しみにしています(^O^) (2018年10月8日 15時) (レス) id: 43f343ee39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吹雪 燐 | 作成日時：2018年10月2日 20時
