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朱雀がきれいな笑顔を浮かべて二人を見つめるとその圧に押されて二人は渋々頭を下げた。
「「ごめんなさい…」」
「はいよろしい。」
最後に効果音が付きそうなほどニコッと笑って見せた朱雀を見ながら鶴丸は苦笑いをこぼす。
「大人げない…」
「なにか?」
呟いた鶴丸の声に朱雀はいい笑顔のまま振りかえる。
そんな彼女に鶴丸は慌てたように首をブンブン横に降る。
「なんでもないぞ!
いやー、俺の妹は可愛らしいなぁと思っていただけだ!」
「あら、それはとても嬉しいですわね兄様。
ですが……
聞こえてしまっていたので当分いたずら禁止ですわ。」
朱雀が笑顔でいい放つと鶴丸は苦しそうに笑う。
「…頼まれたってやらないさ。
もう二度と驚きは要らないからな。
何にも変えがたい毎日には、当たり前のように側に妹がいて、仲間がいて、ただただ己の役割を全うしながら生きていられるだけで十分だと解ったからな。」
鶴丸のその発言に朱雀と萩原以外の刀剣達は顔を曇らせた。
彼らは朱雀を斬って以降の鶴丸をよく見てきた。
己の手で愛する妹を斬った鶴丸がどんな思いで死なせてくれと懇願したのか他のだれにだって想像もつかない。
唯一、主をその手で殺した朱雀以外は…
そんな空気の中、小さな子供達が鶴丸の手をとって不思議そうに首をかしげた。
「ねえねえ、維茂お兄さん。
どうして驚きが要らないなんていうの?
歩美はね、楽しい驚きは大好きだよ!」
「僕もです!
灰原さんやコナン君のように転校生が来て、こんなに仲良くなれるなんて僕だって驚きですけど、とても嬉しくて楽しいです!」
「俺も俺も!
皆で博士の作った発明品で遊んだりサッカーしたりしてよ!
コナンがゲームが下手くそだとかあいつからサッカーで点とれたこととかスッゲーワクワクするぞ!」
「「「だから私/僕/俺達は驚きが大好きなんだ!!」」」
鶴丸はハッとしたように小さな人の子を見た。
己よりも生きた年月が少ないせいか純粋に目を輝かせ日々の小さくても楽しい驚きをつかみとっているその姿は千年前の自分とそっくりに見えて眩しかった。
「……こんなにも小さな存在に一本とられるなんてな」
泣きそうな顔をくしゃりと歪めた鶴丸はそれでも嬉しそうに何年かぶりのあの台詞を溢す。
「こりゃ驚いた。」
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吹雪(プロフ) - コメント感謝しますm(__)m返信、更新ともに遅れて申し訳ないです。これからもよろしくお願いします! (2018年10月15日 10時) (レス) id: 4e2a82a17c (このIDを非表示/違反報告)
泉 - とても面白いです!更新楽しみにしています(^O^) (2018年10月8日 15時) (レス) id: 43f343ee39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:吹雪 燐 | 作成日時:2018年10月2日 20時