呪いの意味 ページ9
朱雀が折れた。
この事実は鶴丸にとって何にも変えがたい苦痛だ。
それも折ったのは己自身。
折れた刀を抱き締めて謝ることすらできなかった。
その事に耐えきれず鶴丸は何度も何度も自身の本体で首を刺してみたり心臓の辺りを刺してみたりと自分を折ろうとしていた。
それでも折れることはなかった。
朱雀がかけた呪いがそれを許さないのだ。
どんなに重症でも中傷にまで戻り、刀剣に燻る邪気を消し去ってしまう呪い。
朱雀は皆を守るためそんな呪いをかけた。
自身にはかけられないその呪いを……
「紅っ、頼む、苦しいんだ。
俺も逝かせてくれっ。」
泣きながら妹を呼ぶ鶴丸が痛々しくて本丸の刀剣達は皆一様に顔を背けた。
自分達だって辛い。
仲間が仲間の手によって目の前で消えていったのを見てしまったのだから誰だって辛いだろう。
できることなら止めに入りたかったと誰もが思っていた。
言霊に縛られていたのはなにも鶴丸と三日月だけではなかったのだ。
だがここで一番辛いのは鶴丸である。
操られていたのだから誰も鶴丸を責めたりなどできるはずがない。
それが余計に鶴丸を苦しめていることを知りながら……
一期一振は五条の部屋の前で立ち尽くしていた。
(なんと話しかければよいのでしょうか……)
一期は朱雀のお陰で兄弟を誰一人失うことなくこのブラック本丸を耐えている。
兄弟を自身の手で失う苦しみなど想像はできてもわかるはずがない。
(わかりたくもないですが……)
一期は戸に手をかけては引っ込めるということを繰り返していた。
その時後ろから手が伸びてきて一期の肩に手が置かれる。
驚いた一期が振り返るとそこには悲しそうに顔を歪めた三日月がいた。
「三日月殿……」
名前を呼べば彼は一期から手を放し戸を開けて中に入った。
「紅？」
虚ろな目で振り返る鶴丸に三日月は目を細めて近づく。
「残念ながら俺は朱雀ではない。」
そう言ったかと思った瞬間三日月は鶴丸の胸ぐらを掴み鶴丸の目をまっすぐに見つめる。
「三日月殿！？」
止める一期には目もくれずに三日月の宿るその瞳が真剣に鶴丸を捕らえた。
「何時までそうしているつもりだ？
なんのために朱雀が俺達を生かしたのか考えろ。」
静かに語る三日月の腕を鶴丸は爪が食い込むほど強く掴む。
「紅を捨てたお前に、なにかを言われる筋合いはない。」
「っ！！」
三日月が鶴丸に手をあげたときだった。
〜♪
微かな笛の音が聞こえた。
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吹雪(プロフ) - 僕も陰陽師大好きです！この作品は世界観が瞑想している気がしますがそう言っていただけると嬉しく思います。これからもよろしくお願いしますm(__)m (2019年5月7日 21時) (
レス) id: 46e13fa611 (このIDを非表示/違反報告)
架印��(プロフ) - 陰陽師(野村萬斎&伊藤英明さんの映画)好きの私…タイトルに興味を惹かれて読んでみたのですが、世界観に一気に引き込まれました。更新頑張って!！ (2019年5月6日 20時) (レス) id: cb6e7377c2 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 気に入った作品で続きが楽しみです今後他の作品を作る予定があったらリボーンのツナ♀逆行か雲雀の姉か妹か娘がワールドトリガーかヒロアカかアニメKとコラボかトリップか転生した作品が読んで見たいです説明が下手ならすみませんこれからも応援します (2018年3月13日 22時) (レス) id: 9bec705c08 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪(プロフ) - 苦手なお話に挑戦してくださってありがとうございます。そういった方からの嬉しいお言葉はとても自信になりました。これからもよろしくお願いします！！ (2018年2月20日 10時) (レス) id: 4e2a82a17c (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 刀剣女士の話は少し苦手でしたがこのお話は何の疑問もなくすんなりと読めました。改稿も程々で誤字脱字も少なかったのでとても読みやすかったです。更新心待ちにしています！ (2018年2月20日 8時) (レス) id: 671ce60c1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吹雪 燐 | 作成日時：2017年9月14日 19時
