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「何故、涙など……」
困惑していると降谷がスッとハンカチを差し出した。
「これを使え。」
ぶっきらぼうだがとても暖かいことばだった。
人の子の暖かさに久しぶりに触れたせいかどんどん涙が溢れて止まらない。
皆はどうしているだろうか、無事でいてくれているだろうか……
楽しかったことも苦しかったことも全部が一緒になって朱雀に押し寄せた。
「止まれ、止まってくれ。」
泣きたいのは皆だ。
自分は泣くことすら許されない大罪をやってのけたのに何故自分が泣く？
あのとき涙は枯れたはずだった。
泣き止まない朱雀に降谷は戸惑いながら後ろにいる仲間に目をやるとまるで拭ってやれとでも言うように頷かれた。
そっとハンカチを顔に近づけると朱雀はその手を強く握り声をあげて泣き出した。
「主、兄様っ、三日月ぃ……
うわああああああっ！！」
泣き叫ぶ朱雀を降谷達はなにも言わずに黙って受け入れていた。
「嬢ちゃん、落ち着いたか？」
「ああ、迷惑をかけたな。」
ほらよ、と松田に渡された暖かいお茶を手に朱雀は大きく深呼吸した。
「取り乱してすまなかった。
それと、礼を言う。」
深く頭を下げる朱雀に４人は笑顔で首を振った。
「気にすることはないよ。」
「なにか辛いことがあったんだろ？」
優しい言葉に恐縮してしまう。
全くもって情けない。
自分はここにいる誰よりも長く生きていると言うのに……
それを考えるととても恥ずかしい。
「朱雀さんはこれからどうするの？」
萩原に問われて彼女は顔を曇らせる。
「元の場所に戻ろうと思う。
皆を放っておけない。」
「さっきから出てくる皆ってのは？」
黙って聞いていた伊達が朱雀に問う。
「我にとってのかけがえのない者達だ。
命を捨てたとて構わないと思えるようなそんな存在。
ちょうどそなたにとってのこの者達のようにな。」
羨ましそうに４人を見つめる朱雀はお茶をおいて立ち上がると路地裏に向けて歩き出した。
「待て。
大丈夫なのか？
さっきお前泣いてただろ。」
降谷が目に真剣さを帯びさせながらこちらを見ていた。
「そうだな。
大丈夫ではないかもしれない。
だが、今の我にはこれしかできぬのだ。
主のない我ではこうして人の姿を保つことで精一杯。
己の無力さを見つめながら過ごすことしかできぬ。」
降谷の目を見つめ語るその姿はとても強くて４人は朱雀から目をそらすことができなかった。
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吹雪(プロフ) - 僕も陰陽師大好きです！この作品は世界観が瞑想している気がしますがそう言っていただけると嬉しく思います。これからもよろしくお願いしますm(__)m (2019年5月7日 21時) (
レス) id: 46e13fa611 (このIDを非表示/違反報告)
架印��(プロフ) - 陰陽師(野村萬斎&伊藤英明さんの映画)好きの私…タイトルに興味を惹かれて読んでみたのですが、世界観に一気に引き込まれました。更新頑張って!！ (2019年5月6日 20時) (レス) id: cb6e7377c2 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 気に入った作品で続きが楽しみです今後他の作品を作る予定があったらリボーンのツナ♀逆行か雲雀の姉か妹か娘がワールドトリガーかヒロアカかアニメKとコラボかトリップか転生した作品が読んで見たいです説明が下手ならすみませんこれからも応援します (2018年3月13日 22時) (レス) id: 9bec705c08 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪(プロフ) - 苦手なお話に挑戦してくださってありがとうございます。そういった方からの嬉しいお言葉はとても自信になりました。これからもよろしくお願いします！！ (2018年2月20日 10時) (レス) id: 4e2a82a17c (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 刀剣女士の話は少し苦手でしたがこのお話は何の疑問もなくすんなりと読めました。改稿も程々で誤字脱字も少なかったのでとても読みやすかったです。更新心待ちにしています！ (2018年2月20日 8時) (レス) id: 671ce60c1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吹雪 燐 | 作成日時：2017年9月14日 19時
