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自身の唇を血が出そうなほど強く噛み締める降谷の肩を朱雀は優しく叩く。
まるでお前は悪くないと言葉をかけるかのように。
その行動により力が抜けた降谷をみた朱雀は再び口を開いた。
「主は霊力が少ないながら努力でそれを補っていた。
対する見習いとして来た男は霊力が豊富で審神者としてはうってつけであった。
……そなたには劣るがな？
しかし、本丸を乗っとるにはそれで十分だった。
本丸の刀剣達は誰一振りとして見習いについたものなどいなかった。
皆が主を信じ守ると誓っておった。
だが、見習いは言霊で刀剣たちを縛り付けたのだ。」
言霊というのはなんとなくわかる。
相手を言葉で縛りいうことを聞かせる代物だ。
「それじゃあ操られた刀剣がお前達の主を？」
「そうとも言えるが違うとも言えるな。
我が本丸で我だけはあの男の言霊が通用せんかった。
故に我は主を殺せと命じられた仲間達から主を守るために仲間を折れる寸前まで斬ってきた。
何度も何度も……
ばかりかあの男は言霊で縛り付けた仲間たちを人質にとり我に夜伽を命じたりもした。
我らはたとえ仲間を斬っても仲間に斬られても体を売っても、折れて消えたとて構わなかった。
そこに主が生きていてくれたなら、なんだってよかった、苦しみにも耐えられたのだ。
それなのに主は……」
「庇ったんだな、お前達のことを。
何より大切な家族だったから……」
慈悲深く優しく努力家で家族思いの男。
冷酷で図々しく自らが持つ力に酔いしれた醜い男。
朱雀の話す二人の男はあまりにも違いすぎた。
「主が死んだのがそなたに会う半年前だ。
それから一気に本丸は変わっていった。
食べることも寝ることもできず毎日暴力と仲間の傷つく音に怯えながら過ごすしかなかった……
殺してやろうと思った。
それで闇討ちにいったところを返り討ちに合い折られたのだがな、主が死ぬ前に託してくれた御守りをそなたが使ってくれたお陰でこうしてここにおる。」
「そう、か……
だがそれだけじゃないんだろう？
お前はまだその男を
殺すつもりだろう。」
朱雀は静かに目を閉じる。
まるでなにかを躊躇っているようだ。
しばらく目を閉じていた彼女はゆっくり目を開けるとしっかりと降谷を見据えた。
「……ああ、その通りだ。
そしてそのためにそなたに近づいた。
最後の主命を果たすために。」
その瞳の強さに降谷の頬を冷たい汗が流れていった。
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吹雪(プロフ) - 僕も陰陽師大好きです！この作品は世界観が瞑想している気がしますがそう言っていただけると嬉しく思います。これからもよろしくお願いしますm(__)m (2019年5月7日 21時) (
レス) id: 46e13fa611 (このIDを非表示/違反報告)
架印��(プロフ) - 陰陽師(野村萬斎&伊藤英明さんの映画)好きの私…タイトルに興味を惹かれて読んでみたのですが、世界観に一気に引き込まれました。更新頑張って!！ (2019年5月6日 20時) (レス) id: cb6e7377c2 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 気に入った作品で続きが楽しみです今後他の作品を作る予定があったらリボーンのツナ♀逆行か雲雀の姉か妹か娘がワールドトリガーかヒロアカかアニメKとコラボかトリップか転生した作品が読んで見たいです説明が下手ならすみませんこれからも応援します (2018年3月13日 22時) (レス) id: 9bec705c08 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪(プロフ) - 苦手なお話に挑戦してくださってありがとうございます。そういった方からの嬉しいお言葉はとても自信になりました。これからもよろしくお願いします！！ (2018年2月20日 10時) (レス) id: 4e2a82a17c (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 刀剣女士の話は少し苦手でしたがこのお話は何の疑問もなくすんなりと読めました。改稿も程々で誤字脱字も少なかったのでとても読みやすかったです。更新心待ちにしています！ (2018年2月20日 8時) (レス) id: 671ce60c1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吹雪 燐 | 作成日時：2017年9月14日 19時
