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降谷は走っていた。
走りすぎて足がもつれる。
それでも足を止めることができずにひたすら走る。
(頼む、ヒロ死ぬなよ！)
口の中がカラカラで血の味が喉にこびりつく。
きっかけは諸伏からのメールだった。
たった一言“すまない”の文字が表示されただけのそのメールは彼の死を思わせるには充分すぎた。
仲間を犠牲にしてまで俺は生きていたくない。
なんとか目的の建物にたどり着く。
「なあ朱雀。」
階段に足をかけながらここには居ないはずの朱雀に話しかける。
「約束しただろ。
俺の仲間を友を守るって……
じゃあ、その約束を守ってくれよ！！
“朱雀晴明国永”！！」
気がついたら叫んでいた。
それと同時に屋上の方から発砲音が響き渡った。
あわてて階段を駆け上がり屋上のドアを思いっきり開けるとその光景に驚いた。
「す、ざく？」
季節外れの桜の花びらが舞う中、頬に銃弾を掠めたであろう傷をつけた彼女は刀を持っていた。
足元にはまっぷたつに斬られた拳銃が落ちている。
彼女は冷たい目を宿し鋭く諸伏に視線を向けていた。
現実離れしているがどうやら刀で拳銃を斬ったようだ。
「ようやっと迎えが来たか。
遅いぞ、透。」
刀を鞘に納めた彼女は１つ息を吐くといつもと同じ綺麗な笑顔を向ける。
その場にいたであろう赤井や諸伏でさえも状況がつかめず呆然とする。
それほどまでに彼女は現実離れしていた。
「バーボンだったのか。」
我に返った諸伏が呟き自身の手に残った引き金だけを地面に捨てた。
どうやら自害しようとしていたらしい。
早まったことをしてくれなくてよかったと降谷は胸を撫で下ろした。
「おい、お前また体が……」
赤井の声が聞こえた通り朱雀の体は透けていた。
「仕方なかろう。
我は透との制約を果たすためだけに顕現したにすぎぬ。
役目が終わればまたただの鉄屑だ。」
悲しむようすもなく告げる彼女に降谷は自分の発言の軽率さを改めて呪った。
そして静かに朱雀に近づくとその手をしっかりと握る。
「帰ってこなくていいなんて嘘ですよ。
家に帰ったとき貴女が居ないと不安になります。
今度はちゃんと貴女をを信じると誓いましょう。
だから帰ってきてください、朱雀晴明国永。」
その瞬間透けていた朱雀の体がはっきりと存在とあるものへと変わった。
「承ったぞ、我が主。」
朱雀はしっかりと降谷の手を握り返した。
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吹雪(プロフ) - 僕も陰陽師大好きです！この作品は世界観が瞑想している気がしますがそう言っていただけると嬉しく思います。これからもよろしくお願いしますm(__)m (2019年5月7日 21時) (
レス) id: 46e13fa611 (このIDを非表示/違反報告)
架印��(プロフ) - 陰陽師(野村萬斎&伊藤英明さんの映画)好きの私…タイトルに興味を惹かれて読んでみたのですが、世界観に一気に引き込まれました。更新頑張って!！ (2019年5月6日 20時) (レス) id: cb6e7377c2 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 気に入った作品で続きが楽しみです今後他の作品を作る予定があったらリボーンのツナ♀逆行か雲雀の姉か妹か娘がワールドトリガーかヒロアカかアニメKとコラボかトリップか転生した作品が読んで見たいです説明が下手ならすみませんこれからも応援します (2018年3月13日 22時) (レス) id: 9bec705c08 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪(プロフ) - 苦手なお話に挑戦してくださってありがとうございます。そういった方からの嬉しいお言葉はとても自信になりました。これからもよろしくお願いします！！ (2018年2月20日 10時) (レス) id: 4e2a82a17c (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 刀剣女士の話は少し苦手でしたがこのお話は何の疑問もなくすんなりと読めました。改稿も程々で誤字脱字も少なかったのでとても読みやすかったです。更新心待ちにしています！ (2018年2月20日 8時) (レス) id: 671ce60c1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吹雪 燐 | 作成日時：2017年9月14日 19時
