春、5話 ページ6
・
『パパにいろいろきいてきたの!』
ノートにはひらがなで頑張ってメモをした痕跡があるが、残念ながら萩原には全てを読むことはできなかった
「…この、"ぼうだんチョッキみたいなぷろてくたー"って…?」
『それはねAがぼーだんチョッキだとおもってやつ!…んとね、ばくはつ…』
ノートに顔を近づけて凝視するが、書いた本人もどうやら読めないみたいだった
『ばくはつなんとか…なんとか、はん?みたいなやつの人しかきれないチョッキなんだって!』
『あとね、そのくびのマフラーみたいなやつはね、やけどしないためにつけてるんだって!"きどーたい"って人たちがつけてるみたい!』
「機動隊…爆発……となれば、思い浮かぶのは爆発物処理班だな…」
『あー!それ!!ばくはつぶつ…はん!』
…Aちゃん可愛いね。とAの髪を撫で、肩を揺らしながら笑う萩原
何故笑われてるのか分からないが髪に優しく指を通す感覚が気持ちよくて、Aは目を細めてその手に頭を擦り寄せた。
「…Aちゃん、それあんまり知らない大人にやっちゃだめだからね。」
『?うん…?』
指切りしよう、と差し出された小指にとりあえず指を絡めた
「…なにはともあれ、色々調べてくれたんだね。ありがとう…
でもこんなにお父さんに聞いて大丈夫なの?」
ゆーびきーりげんまん、と楽しそうに歌っている彼女に、ふとした疑問を聞いた
『んー?うん。Aね、しょうらいけーさつかんになりたいなっておもってて!"けーさつがっこう"?っていうのにかよいたくて、パパにいろいろきいてるの!」
「っ……?」
『…けんじくん?』
突然昨日のように頭を抑えてしゃがみこだ萩原にAも同じようにしゃがみ込み、顔を覗き込んだ
『あたまいたいの…?』
ずっとしゃがみ込んだままの萩原に焦りを感じ、なにかしなきゃと思い、とりあえずさっき彼がやってくれたように髪を撫でた
途端、ポツリと呟く声が聞こえた
「…じんぺい、ちゃん……?」
『じんぺいちゃん…?』
・
24人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:小春日和 | 作成日時:2021年5月27日 0時