元ヤンの幼なじみが普通とヤンキーを両立しようとするので見ている私は気が気ではない。 (ページ37)

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────Side.剛

「……藤田さん、1年のときも何人かに告られてたしよ、2年なってさらに人気が出たっつーか。これでぽっと出の男とかと付き合われたらやるせねえよなあ」

「んなことになったら俺だって白百合行けねえよ！」

「お前は自分の学校行け」

放課後、いつものラーメン屋「龍山」に伍代、大丸が集まって飯を食っていた。普段ならばここにAも居るのだが、今日は予定があるからと不在である。

「……なあ、伍代だったらどうする」

「なんで俺に訊くんだよ」

「そりゃほら、お前、なんか……女の扱い慣れてそうじゃん」

「つーか前から思ってたんだけどよ、お前女いんだろ」

「そうだよ、去年の夏祭りだって女と一緒に来てたじゃねえか」

「それを言うならお前だってAと来てただろうが。……たまに飯食ったり映画一緒に行ったりする奴はいるけど、彼女はいねえよ」

「そいつら絶対自分は彼女だって思ってるよ！」

「な。嫌味な奴。本気で好きな奴いねえの？」

「……、」

突然訪れた沈黙に思わず箸を止めて伍代の顔を凝視した。伍代はどこか考え込むように宙を見つめている。

「……え、なんだよその間」

「いや、別に」

「まさかいんのか？！本気で好きな奴！」

「俺の話はいいだろ」

大丸がゴリラのように盛り上がる。まさか伍代にも好きな奴がいんのか……。今朝、教室で盛り上がっていた会話を思い出す。

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