元ヤンの幼なじみが普通とヤンキーを両立しようとするので見ている私は気が気ではない。 (ページ31)

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────それから1ヶ月後。スマホに着信が入る。画面を確認すると吟ちゃんからの電話だとわかったので画面をタップした。

「もしもし吟ちゃん？どうしたの？」

『あのさ、Aって白百合行ってんだよね？』

「そうだけど……」

『……中学の時に使ってた参考書とか、あったりする……？』

「あるよ。うちの母さん、それに関しては惜しみなく買ってくれたから結構あるけど……もしかして、勉強続いてる？」

『実は結構勉強楽しいなって思えてきててさ……もしAが使わないなら、貸して貰うことってできる……？』

「貸すどころかあげるよ！？こんなので良ければ！もう使ってないし……書き込み多くて汚いのはさすがに渡せないけど、結局あんまり使わなかったのとかあるから、まとめて持って行くよ！」

『ほんとに！？マジでありがとうー！』

「なんなら本屋さんに行って吟ちゃんが欲しいやつプレゼントするけど！？こう見えてバイト代貯めてるから！」

『いいよそこまでは！なんでAってそんなにあたしに甘いの……？』

「えっ、甘いかな？」

『めちゃくちゃ甘えよ！甘やかして貰ってるあたしが言えることじゃないけどさ！』

「……なんて言うかさ、私って一人っ子でしょ。妹とか憧れるんだよね。吟ちゃんは本当に可愛くて妹みたいに思ってるから、ついつい甘やかしちゃうのかも。吟ちゃんの迷惑になってたらごめん」

『迷惑とかじゃ、ないけど……』

「そう？じゃあAサンタから参考書プレゼントしちゃうから今度空いてる日教えて」

『だーから！それはいいって！もう！……けどありがとな！またウチ寄ってよ！じゃあね！』

「あっ待って吟ちゃん！今家いる？どうせ家近いから、今から参考書まとめて持って行こうと思ってんだけど」

『わかった！家いるから待ってるね！』

「はーい！じゃあまた後で」

プツン、と電話が切れる。それにしても吟ちゃんがこんなに勉強続くなんて。やっぱり剛の妹ってことなのかな、と小さく微笑んで、本棚にささったままの、高校受験のときに買った比較的綺麗な参考書を紙袋へと詰めていった。

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