元ヤンの幼なじみが普通とヤンキーを両立しようとするので見ている私は気が気ではない。 (ページ29)

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────時はまた過ぎ、空気がひんやりとする冬が訪れた。今年ももう暮れである。時間の流れは早いものだ。

つい1ヶ月ほど前にファミレスでアルバイトを始めた私は、今日もせっせと労働に汗を流していた。

「葛城さん、これ4番テーブルにお願い」

「わかりました！」

厨房から渡された料理を手に、4番テーブルへと向かう。……ここだ。

「お待たせしましたー……っ！！？？」

目的地へと辿り着いた私は、そのテーブルに座る男女のお客様を見て固まった。

「あ、僕です。ありがとうございます」

「……！？」

中学生くらいの男の子が丁寧に手を上げて、料理を頼んだのは自分だと示してくれた。はたと我に返り料理をその子の前に置く。その正面に座る女の子────吟ちゃんは目をまん丸にして私を凝視していた。

(ぎ、吟ちゃんに……男！！！誰！！！？？？)

という意思を込めてぎゅんと吟ちゃんに目を向けると、あたふたと慌てた様子で「佐藤くんゴメン！ちょっとトイレ行ってくる！」と立ち上がり、私の手を引いてお手洗いの前まで移動した。

「A、ここで見たことは絶対に誰にも言わないで！」

「言わないし言えないし言うわけないし、そんなことよりあの男誰？わた、私の、可愛い吟ちゃんと、どういう、関係、」

「わー！バレちゃいけない人ここにもいた！」

正直ショックが大きすぎて何も頭に入ってこない。

確かに吟ちゃんは世界一可愛くて良い子だし誰もがほっとかないに決まってる、だがいざその現場を目撃してしまうと「おいテメェどこの馬の骨や表出んかい」と口をついて出そうになる。

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