#68 ページ21
・
「────それにしても、伍代の名前を騙った悪い奴は一体誰なんだろうね」
帰り道、伍代に家まで送って貰いながらぽつりと呟く。
「探すに決まってんだろ。そんで、」
「お仕置きする?」
「……当たり前だ」
────殴り飛ばされた男が地面へと倒れ込み、その場に立っているのは伍代だけになった。私はしゃがみこみながらそれを見ていたので、立っている人間にはカウントされていない。
「伍代ってなぜか
「誰が霞みがちだ」
「伍代!?」
声の方に目を向けると、大丸が走り寄ってくる。その奥に見えるのは全身がボロボロの男、恐らく彼が大丸の言うヒロなのだろう。
「なんでお前が同じ市松を?」
「俺の名前騙って悪さしてやがったんだよ、気分悪いだろ」
「だからお仕置きしに来たの。私は見てただけだけど」
「やっぱ本物は強えな……」
瞬く間に全員沈めた伍代はやはりさすがの強さだ。ボロボロになってるイメージが強いけど。
「おい!コソコソしてんじゃねえよ」
伍代が誰もいない方に向かって呼びかける。その視線を辿ると、制服姿の剛が姿を見せた。
「バレてたかぁ」
「……帰れっつったのに」
「お節介野郎が」
「ほっとけない病だから、あれは」
「いやぁ大丸バカだからさ、また騙されてんじゃねえかと思ってよ」
「バカって断言すんな」
「なんかこう……騙されそうな顔?してんだよな。あんぽんたんつーかとんちんかんつーか、すっとこどっこいっつーか?」
「っあははははは!あははは!!」
「また伍代腹抱えて笑ってる。意外とゲラなんだよ、剛知ってた?」
「いや……」
「おい!伍代!てめ、笑いすぎだよ!難破、お前のせいでこんなに笑ってんぞ」
「でもしっくり来たよ、あんぽんたん、とんちんかん、すっとこどっこい?」
「なっ!Aまでなんつーこと言うんだよ!」
ぎゃーぎゃーと喚く大丸に肩を抱かれた剛と伍代を見ながら、私まで笑いが伝染してしまった。絶えることのない声が辺りに響いた。
373人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぺぺろんちーの(プロフ) - いつもお話が面白くて更新楽しみにしています!続きも気になります〜♡! (2022年6月24日 17時) (レス) @page34 id: 3ba0f6d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2022年6月19日 11時