元ヤンの幼なじみが普通とヤンキーを両立しようとするので見ている私は気が気ではない。 (ページ18)

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「大丸、お前にもヒロと同じ痛みを味あわせてやるよ！」

「うああ！」

「大丸！！」

大丸の指が反対向きに捻り上げられ、悲鳴が上がる。物陰から飛び出すため1歩踏み出したその瞬間、真横を白い塊が過ぎ去った。それは大丸の指をへし折ろうとしていた郷田に向かって一直線に飛び上がり、蹴り飛ばす。

「……んっ！？」

思わず名前を呼びそうになって口を押さえる。中途半端に飛び出してしまった私はそういえばこの場を見守ることに精一杯で白百合の制服を着たシャバい格好のままだった。慌てて物陰へと引っ込む。

「何なんだ！テメェ関係ねえだろ！」

「うっせーな！むしゃくしゃしてんだよ、相手しろや」

「何見てんだ！このイカれた野郎をぶっ倒せ！」

剛ひとりに対し、相手は6人。剛はいつもの挑発する手招きで相手を引き寄せる。まんまと近づいた相手に容赦なく拳、蹴りをぶち込んだ。

「難破テメェ……！」

「あああああ！！」

「！？」

今、大丸なんて言った？もしかして"難破"って。誤魔化し方がド下手な伍代が突然叫んだことにびっくりしてしまったが、まさか大丸も特服の正体を知っているのか。

「なに！？」

「……いや？」

「シャバいふりしてんじゃねえぞ、」

「いちいち名前呼ぶんじゃねえよ！」

大丸のデカい身体に伍代が飛びついてその口を押さえる。大丸が伍代を振り払う頃、剛はほとんどの相手を地面に沈めていた。

「何なんだよコイツは……」

あとは沢田、郷田だけ。剛がその2人を睨みつけると大丸はその肩を強く掴みあげた。

「テメェ……誰が助けてくれって頼んだよ、ヒーロー気取んのもいい加減にしろ！」

「大丸、何してんだよオイ、このイカれた野郎に千鳥の怖さ教えてやれ、」

「ふんぬああ！……うるっせえんだよいちいち黙っとけ！！」

大丸は振り向きざまに郷田を殴りつける。派手に吹っ飛んだ郷田に、沢田も怯んだようだった。伍代がつかつかと沢田に歩み寄る。

「ちょっと待て伍代、言い出しっぺは郷田だって、」

「だからなんだよ」

「……クソ！」と言い残し沢田がこの場から去る。それを見届けた剛は一言も発さず走り去った。すれ違いざまに私のことを気づいたようだったが、その足を止めることはなかった。

「……お前、こんなとこで何してんだ。ついてくんなって言っただろ」

伍代が私の姿を見つけて眉を顰める。いつしか居なくなっていた剛を探して、大丸は辺りをキョロキョロと見回していた。