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「ところでお前はなんで白百合に?」
少し落ち着いたのか、頭を上げ私へと話題を移してくる。しゃがみこむ剛の隣にすとんと腰を下ろした。
「……剛も知ってると思うけど、うちの両親っていわゆる"普通"でしょ。平々凡々。だからずっと本当は私に普通の子になって欲しかったんだって。でも中学までは何も言わずに私の好きなようにさせてくれてて。だから高校では、お願いだから普通の人のように過ごしてくれって母さんに泣かれてさ。
……今まで喧嘩しようが顔や身体に怪我作ろうが、渋い顔はすれど何も文句言わなかった両親に恩は感じてるから。何であんな普通の両親からこんな娘が生まれたんだって親戚がぼやいてるのもたまたま聞いちゃって。
だから……高校、ってか、これからは両親が望む姿で生きていこう、生きていかなくちゃな、って思っただけだよ」
「……確かにお前のとーちゃんとかーちゃん、俺ら家族とお前がつるんでんの、いい顔しなかったもんな」
「そーいうこと。でもだからって今までのツレとの縁は絶対に切らないけどね。別に今までの人生のこと恥だと思ってないし。」
そう言い終えるとふたりの間に沈黙が落ちた。
勢いでぺらぺらと喋ってしまったが、もしかしなくてもめちゃくちゃ臭いこと言ってしまったのではないだろうか。剛から返事がないことが何よりもそれを証明している。
「ちが、今のなし、」と慌てて訂正しようとすると、強い力で頭を撫でくり回された。押さえつけられるような力の入り方で、剛相手に私ごときじゃ顔を上げられるはずもなく。されるがままにぐしゃぐしゃにされた髪は、元がポニーテールだったとは到底考えられないほど乱れきっていた。瓶底メガネまで傾いている。
文句を言おうと剛を見上げると、やけに上機嫌で、嬉しそうに目を細める顔があって。出かかった声も喉の奥に飲み込まれる。
「……気合いの入り方がちげーな、お前は」
呟くように告げられたそれのせいで単純すぎる私は耳が火が出てるんじゃないかと思うほど熱い。もし赤くなってたら、とバレるのを恐れてそっぽを向く。
まともに返事なんかできやしない。きっと今声を出したら裏返ってしまう。我ながら単純だ。制御されてくれ。
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間宮祥太郎好き - 難破剛かっこいい惚れました。しかも今も胸キュンです。ずっと難破剛会いたい、会いたくてしかたないです。大好きです。 (2022年6月16日 22時) (携帯から) (レス) id: 63b7d0fc4e (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ - ナンバMG5の難波くんのお話なかったので見てみたら話が面白すぎて引き込まれちゃいました…!🫠間宮祥太朗さんファンなのでありがたいです😭!! (2022年6月16日 21時) (レス) @page38 id: 9f8ceec694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2022年5月24日 12時