中学時代バリバリのヤンキーだった私が普通科高校に入ったら同じくバリバリヤンキーだった幼なじみと遭遇した。

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────Side.伍代



「ごめん待たせた？トイレ行こうと思ったらめちゃくちゃ混んでてさ」

「……ああ」



似たようなセリフを、似たような感情を抱いたときにこいつの幼なじみから聞いた覚えがある。幼なじみだからとコイツらはすぐ言うが、それにしたって気が合いすぎというか思考回路が似すぎというか。恐らく元々似たような人間なんだろう。



「……選ぶのはそういうのじゃない服、な」

「ウス！夜露死苦ですー！」



派手な虎の写実的なイラストが背面に描かれた、見るからにヤンキーの風貌。シャベえときとは違って眼鏡もしてないし髪も結んでない。見る度に思っているが難破に負けず劣らずすげー印象が変わる奴だと思う。



「じゃ、行くか」

「はーい！」










ふと気づけば隣を歩いていたはずのAがいない。見回すと今着ている服の系統と同じようなものを取り扱っている店に吸い込まれていて、「今日はそういうのじゃねえやつだろ」と首根っこを掴んで引き剥がす、といった行為を今日だけで既に4回はやっている。



「選ぶ気あんのかよ」

「ある！あります！！本当です！！！でも足が勝手に！！」

「次やったら帰るからな」



しくしく、と泣き真似をされたところで悪いのはお前だ。わざと聞こえるようにため息を零す。気を取り直して歩き出そうとすると、強い力で手をぎゅっと握られ思わず足が止まった。



「はぐれないようにしっかり掴んでてクダサイ……」

「ガキかよ……」



至極まじめな顔。冗談のつもりはないらしい。これでコイツが寄り道しなくなるならそれに越したことはないが、本当にそれでいいのかと尋ねたくなった。

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