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……嘘だと言って欲しいんだけど、もしかして深雪ちゃんって10万に釣られて特服探しをしていたの?いやいやまさか……、あんなアホでも引っかからないような張り紙に引っかかっただなんて、そんなことあるはずがない。
「最上さん、こいつバカだけど、ちょっと可愛いんで遊んじゃっていいっすか?」
「好きにしろ」
深雪ちゃんが子分たちにどこかへ連れて行かれそうになる。今にも泣きそうな顔で項垂れる彼女を見て、リボンを外して飛び出す準備を済ませた、そして。
「オイ!!!」
誰かの叫び声と、私が深雪ちゃんを掴む男を蹴り飛ばしたのがほぼ同時だった。誰一人として今、何が起こったのかを全て理解できる者は居なかった。私も含めて。
だがそちらを見なくても、長い付き合いゆえその声の主が誰なのかということだけはわかっていた。だから私は最大限邪魔だけはしないように、子分たちの中から深雪ちゃんだけを引き抜き距離を取らせる。大声を出した特服と、突然横からぽっと出てきた私を交互に見る市松の連中は見るからに混乱している。深雪ちゃんは私のことも気になるようだったが、顔に青アザを残した特服に目を奪われていた。
「……クソ野郎。ケリつけようや」
剛、一体いつからどこに潜んでたんだろう。まあそれはあいつも私に対して思ってるか……。元々自分の見せ場にするつもりは毛頭なかったけれど、ここで私が出しゃばるのは違うだろう。視線は剛に集められている。
「死に損ない。トドメさされに来やがったか。……オイ、オメーら手ぇ出すんじゃねえぞ。マジで殺しちゃうかもな!」
「市松に手ぇ出したこと、そいつに後悔させちゃって」
「殴られすぎてボロボロになったこと忘れたのか!」
血だらけで疲弊した伍代の姿を思い出す。腕も治ってないくせに特服を着て私たちの目の前に現れた伍代。案外よく喋って、よく笑って、世話焼きな一面がある伍代。
調子に乗った最上が派手に1発パンチを入れようとして、剛の拳がクリティカルヒットする。怯んだ最上の手からグローブを引き剥がす。
「こんなもん使いやがって何が最強だ!ああ!?」
剥ぎ取ったグローブを両手で抱え込み、青筋が浮き立つほど力を込める。剛の怒りだとか、自分の無力さだとか、伍代を巻き込んでしまった情けなさだとか、いろんな感情が混じりあっているように見えた。
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間宮祥太郎好き - 難破剛かっこいい惚れました。しかも今も胸キュンです。ずっと難破剛会いたい、会いたくてしかたないです。大好きです。 (2022年6月16日 22時) (携帯から) (レス) id: 63b7d0fc4e (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ - ナンバMG5の難波くんのお話なかったので見てみたら話が面白すぎて引き込まれちゃいました…!🫠間宮祥太朗さんファンなのでありがたいです😭!! (2022年6月16日 21時) (レス) @page38 id: 9f8ceec694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2022年5月24日 12時