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深雪ちゃんを家まで送っていったときにふとこぼしていた「……謝らなきゃ。特服にも、あの最上って女の人にも」という呟きが引っかかっていた。もしかしたら最上に接触しようとしているのかもしれない。心配と疑いの気持ちで、翌日、学校を出た深雪ちゃんの後を追う。この日、剛は学校に来ていなかった。
もし万が一何かがあったときに間に入れるように、自分の身を隠すグッズ────サングラスとマスクをカバンに潜ませてある。服は……最悪、ジャケットとリボンさえそのへんに脱ぎ捨てていればぱっと見で白百合の生徒だとバレることはないだろう。まあ正直、そんな格好で出て行ったら私は不審者として名高くなるだろうが。
「……けどなぁ」
深雪ちゃん、なぜ手にミナミの帝王を……?
物陰からこっそりと様子を伺いつつ、念の為ジャケットだけ脱いでおく。リボンなんかはすぐに外せるだろうから、いつでも飛び出していけるようにだ。
「最上さん、ですか?」
「最上でーす」
「初めまして……サソリです」
深雪ちゃんと接触したのは、市松で見たことがある女だ。……というかそんなことよりも深雪ちゃんが「サソリ」だと名乗ってあの女と接触したことが何よりも気になりすぎる。何だサソリって。
「特服の正体掴んだ?」
「……ごめんなさい。やっぱり……特攻服の人の正体、わかりませんでした。そうじゃないかなって人はいたんですけど、でもやっぱり違ってて……。……本当に、本当にごめんなさい」
話の全てが見えたわけじゃないけど、どうやら深雪ちゃんはあの張り紙を真に受けて特服の正体を探っていた、どこかのタイミングでそれが剛じゃないかと気づいたから、昨日、あんなことをしたということだろうか。けれど特服は剛の前に姿を現して、剛は特服ではないとその場では証明された────。
「最上は俺だよ!」
声の方を振り返ると、子分をゾロゾロと連れた大柄の男。やはりあいつが最上だという私の読みは当たっていたらしい。
「なんだテメェ昨日のバカ女じゃねえか!」
最上が深雪ちゃんの髪を掴みあげる。瓶底メガネと髪ゴムを外しマスクを口につけた。
「やっぱりわかりませんだぁ?テメェふざけんなよオイ!」
「てゆーか、10万なんてさらさら払う気ないけどねえ!」
最上が深雪ちゃんを突き飛ばし、子分たちに引っ捕まえられる。
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間宮祥太郎好き - 難破剛かっこいい惚れました。しかも今も胸キュンです。ずっと難破剛会いたい、会いたくてしかたないです。大好きです。 (2022年6月16日 22時) (携帯から) (レス) id: 63b7d0fc4e (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ - ナンバMG5の難波くんのお話なかったので見てみたら話が面白すぎて引き込まれちゃいました…!🫠間宮祥太朗さんファンなのでありがたいです😭!! (2022年6月16日 21時) (レス) @page38 id: 9f8ceec694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2022年5月24日 12時