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「来やがったか……」
「テメェ特服コノヤロー!」
市松の奴らが特服に向かって飛びかかる。それをどこかぎこちなく見える豪快な動きで叩きつけた。そして。
「シャバ僧どもが。どっからでもかかってこいや」
(……この声、)
剛と比べると小柄で華奢な身体、マスクをしていてもわかる綺麗な顔。
「ぜ……、ンンッ、全開バリバリでいくんで夜露死苦!」
「……伍代」
間違いない、あの特服の正体は伍代だ。けれどなぜ伍代が剛の特服を来てこんなところにいるのだ。それから、彼はまだ腕の骨が折れたままのはずだ。つい昨日ばったり出くわしたときも、左腕にギプスをつけたままだった。
私の懸念が的中するかのように最上のパンチが伍代の左腕へと入る。傷に響いたのか苦悶の表情を浮かべると、途端に動きが鈍くなる。そこを狙って気分を良くした最上はその顔を、身体を何度も殴りつけた。
一際大きく殴られ伍代の身体が剛の元へとよろける。
「……おい、」
「ヤンキーの喧嘩にシャバいのが出てくんじゃねえよ。家に帰って勉強でもしてろ!」
剛に向かってそう吐き捨て、私の方を一瞥した伍代はふらつく身体で最上に立ち向かう。しかし体調は万全ではなく、圧倒的に体格差のある相手に為す術なく、何度も重いパンチが入った。
「じゃあバカのツラ拝むとするか」
伍代のマスクをひっぺがそうと手を伸ばす最上を強く振り払い、挑発的に見上げる。
「焦んなよ、勝負はこれからだろ」
「そんなに殺されてえか……!」
ふつふつと全身が煮えたぎるような思いだった。堪忍袋の緒なんかとうに切れ、ギリギリと握りしめた拳には爪が食いこんでいる。一方的に殴られ続ける伍代を見ているだけであることに限界が訪れ、最上の背中から飛び蹴りを食らわそうと足に力を込め助走を始めようとしたときだった。
「オイ!!!」
顔を血まみれにした剛が場を劈くような大声を上げる。全ての視線がそこに集中し、「オメェらが探してる特服はなぁ!!!」と学ランのボタンをひとつ開けた。その瞬間。
「何やってんだ!!」
駆けつけた警官により最上が押さえつけられる。パトカーの音に怯んだ市松の奴らが散り散りになり、その間を縫った伍代がよろめきながら倉庫を出ていく。
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間宮祥太郎好き - 難破剛かっこいい惚れました。しかも今も胸キュンです。ずっと難破剛会いたい、会いたくてしかたないです。大好きです。 (2022年6月16日 22時) (携帯から) (レス) id: 63b7d0fc4e (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ - ナンバMG5の難波くんのお話なかったので見てみたら話が面白すぎて引き込まれちゃいました…!🫠間宮祥太朗さんファンなのでありがたいです😭!! (2022年6月16日 21時) (レス) @page38 id: 9f8ceec694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2022年5月24日 12時