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#35 ページ37

「ねえ、なんでやり返さないの?!……もういいでしょ!難破くんが死んじゃう!!」



深雪ちゃんの悲痛な叫びは、しかし最上を止める力はない。やり返す気配はなく、なおも殴られ続ける剛の元に、深雪ちゃんは自身を押さえていた男の手を振り払い、駆けた。そして手に持っていた通学カバンで最上の大きな背中を叩く。



「……このデブっちょ、もうやめなさいっつってんの!」

「なんだこのクソアマ……テメーはギャーギャーうるせえんだよ!」



最上が深雪ちゃんの頭を掴んだとき、私は私を押さえつけていた男の手から力づくで逃れた────力づくも何も、それほど強い力で抑えられていたわけではなかったけれど。そのまま深雪ちゃんが突き飛ばされ、地面に倒れそうになったすんでのところで受け止める。「深雪ちゃん……!大丈夫?」と小声で尋ねると、こくこくと小さく頷いた。



「……終わりだ」



低い、呟きが聞こえた。その声の主に視線を向けると、呻きながら、しかしはっきりと立ち上がる姿がそこにあった。あれだけ殴られてもなお立ち上がる力が残っている彼に、最上はたじろぐ。



「マジかよオイ……」

「難破くん……」



顔を血で濡らしながら、空虚な瞳で最上たちを見据えている。



「……お前ら全員ぶん殴って俺の学生生活終わりだ」



虚しさと、怒りの塊がそこに佇んでいた。

まだ始まったばかりの学生生活。毎朝トイレで変身する二重生活。ずっと追い求めていた普通、それを手放す覚悟で今、そこに立っている。



(……剛がやる必要ない)



あんなに今の生活に焦がれていた剛を、こんなところでまた喧嘩漬けの日々に戻すわけにはいかない。剛が喧嘩するくらいなら────私がやる。



(……1人でこの人数と、あの大きいのの相手はさすがに骨が折れるけど)



元々私は親に言われて普通科に通っているだけだ、強い執念はない。……まあ、せっかくできた友達の深雪ちゃんには引かれてしまうかもしれないけれど。

拳を強く握りしめ、立ち上がる。瓶底メガネを外そうとツルに手をかけたときだった。



「……特服です!!」



(……え?)



倉庫の扉から────外の光を背に浴びながら歩んでくる姿は、間違いなくあの特服だった。しかし特服であるはずがないのだ、だって剛はここにいるんだから。

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間宮祥太郎好き - 難破剛かっこいい惚れました。しかも今も胸キュンです。ずっと難破剛会いたい、会いたくてしかたないです。大好きです。 (2022年6月16日 22時) (携帯から) (レス) id: 63b7d0fc4e (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ - ナンバMG5の難波くんのお話なかったので見てみたら話が面白すぎて引き込まれちゃいました…!🫠間宮祥太朗さんファンなのでありがたいです😭!! (2022年6月16日 21時) (レス) @page38 id: 9f8ceec694 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2022年5月24日 12時

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