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────翌朝。
剛、伍代と共に難破家を出たが、早々に別れて先に学校へと向かう。剛からは気にするなと言われたが、どうしても気にしてしまうので学校では必要以上に剛と関わりすぎないことにしたのだ。幼なじみであるということはもう周知の事実であるため、よそよそしいのも変だということでコミュニケーションに支障が出るほど会話がないわけでもない。ただの幼なじみであるというだけの関係性であることを心がけるようにしていた。
特服から学ランに変身するために公衆トイレに吸い込まれる剛の背と、訳が分からず私と剛を交互に見ていた伍代に「じゃ、また」と手を挙げて、その場に置いて行くことにした。
教室に着くと島崎が何かの紙を強く睨みつけていた。恐る恐る近づいて尋ねる。
「島崎くん……何見てるの?」
「あ、葛城さんおはよう。アニキが……誰かがアニキを探してるみてえなんだよ!」
バッ、と見せられた紙には「この人探してます」の文字と共に拙いイラスト────ツンツン頭、マスク、白い特攻服と、どこからどう見てもあの男を描いたものが記されていた。
「わ、わー……、ヤンキーって大変だねー……」
ひくひくと引き攣る顔を隠しつつ自分の席へと逃げる。大注目の的じゃん、剛。また余計なことに巻き込まれなきゃいいけど、と思う反面、それは無理なんだろうな……とも思う。平穏を望んでいるはずの彼に降りかかる災難は、きっと彼自信が引き寄せている。もはやそういう性なのかもしれないと、私はひとりため息をつくのだった。
────その日の放課後。
帰りのHRが終わると部活がある生徒は部室へ、用事がない生徒は帰宅する。今日もそれは変わらず、私は机の中の荷物をカバンにまとめ、席を経とうとしていたときだった。
部活組である剛が何やら慌ただしく教室を出ていこうとしていた。
「あれ、部活は?」
「あ、今日は、ちょっと」
「ふーん」
足早に教室を後にする幼なじみ。まあ、あいつにもそういう日があるのかもしれない。
そう言えば部活に入ったとは聞いていたが、何部に入ったのかを聞くのをずっと忘れている。身体能力が高いから運動部なんか似合いそうだ。走りも速いからサッカー部、陸上部、野球部……どれも想像できる。今度思い出した時に聞いてみよう、と私も教室を後にした。
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間宮祥太郎好き - 難破剛かっこいい惚れました。しかも今も胸キュンです。ずっと難破剛会いたい、会いたくてしかたないです。大好きです。 (2022年6月16日 22時) (携帯から) (レス) id: 63b7d0fc4e (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ - ナンバMG5の難波くんのお話なかったので見てみたら話が面白すぎて引き込まれちゃいました…!🫠間宮祥太朗さんファンなのでありがたいです😭!! (2022年6月16日 21時) (レス) @page38 id: 9f8ceec694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2022年5月24日 12時