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「いつから?いつから好きなの?」
「わーーーやめて、それ恥ずかしい」
耳を手で塞いで顔を逸らす。もはやこれは玩具扱いされているのではないだろうか。
「てか下手したら聞こえるからほんと、やめよ、ね、吟ちゃん」
「あたしは恋バナしたいのに」
「吟ちゃんこそ好きな人いないの?」
「うーーん、まあ、いねえかなー。素敵なイケおじが現れたら好きになるかも」
「ああ…吟ちゃんイケおじ好きだねえ……」
渋い声をしたイケたおじさまを思い出す。「あたしの話はいいんだよ!」と吟ちゃんに突っ込まれ、曇りのない瞳にうっと尻込みしてしまう。私の話だってもういいのだ、聞いて楽しいことなんてひとつもない。
「あたしは兄ちゃんとAはすっごいお似合いだと思うけどなあ。萬中時代息ぴったりだったし」
「……なんて言うか、そう言うんじゃないんだよ、本当に」
ぽつり、とどこか自分に言い聞かせるように呟く。
頭に浮かぶのは、中学時代共に拳を交えた姿、傷だらけになった姿、学ランの大人しそうな姿、楽しそうに高校生活を送る姿。
「私は……剛の傍で、剛のこと見てるだけでいい、それがいい。私にとって今が1番なんだ。この距離感じゃなくなることが私にとっては1番つらい。剛がしんどいときに弱音を吐けるような……そんな相手でいられるのが1番だよ」
「A……」
……いざ言葉にしてみるとやけにしっくり来た。しっくり来ると同時に気恥ずかしくなってしまって、この沈黙にむずむずする。吟ちゃんは暫し私のことをじっと見つめていたが、何か納得したようにふっと笑った。
「……マジで惚れてんだ」
「わーーーーーーもーーーー言わないでーーーーー」
身を隠すように布団の中へと潜り込んだ。
────なんだかんだと言おうが結局は剛のことが好きなのだ。好きだから傍にいたい。ただそれだけの願いが少しでも長く続けば良い、なんて、贅沢で強欲すぎるだろうか。
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間宮祥太郎好き - 難破剛かっこいい惚れました。しかも今も胸キュンです。ずっと難破剛会いたい、会いたくてしかたないです。大好きです。 (2022年6月16日 22時) (携帯から) (レス) id: 63b7d0fc4e (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ - ナンバMG5の難波くんのお話なかったので見てみたら話が面白すぎて引き込まれちゃいました…!🫠間宮祥太朗さんファンなのでありがたいです😭!! (2022年6月16日 21時) (レス) @page38 id: 9f8ceec694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2022年5月24日 12時