#27 ページ29
────Side.伍代
玄関から「もしもしお母さん?あのー……友達んちに遊びに来てるんだけど、良ければ晩ご飯食べていかないって言われてて……せっかくだからご馳走になろうかと思ってるんだけど……いいかな……?」と電話をかける声が微かに聞こえてくる。
俺は難破に近づき、他に聞こえないように耳元で尋ねた。
「……俺が居ていいのか?あいつ……俺が居ると気まずいんじゃねえの」
「あん?なんでだよ。今日は伍代に飯ご馳走するって約束だったんだからお前が居てまずいことなんてねーよ。あいつのことなら多分気にしなくて大丈夫だ、気まずそうにしてんのは最初だけで、打ち解けたらすぐ気兼ねなくなるからよ」
……難破がそう言うなら良いのだろう。しかし、バリバリのヤンキーである難破に、あんな普通な女がいたことは意外だった。
「親からオッケー出たので晩ご飯、ご馳走になります!」
電話を終えたAがリビングへと戻る。難破の母親が「おーう!遠慮せず食ってけ食ってけ!」と笑いキッチンへと引っ込んだ。ロクな面識などほとんどない俺たちは一瞬だけ目線が合ったが、どちらともなくすぐに逸らしてしまった。
夕食を終え、テレビの前のソファで寛ぐ難破と────その隣を見やる。難破、A、難破の兄貴がぎゅうぎゅうに密着しながら、しかしそれを誰も気にしている素振りがなくテレビを眺めている。その光景を気にしているのは俺だけのようだった。
「……じゃあ、そろそろ帰るわ」
時計を一瞥し、腰を上げようとした俺に続いてAが「あ、私も」と席を立つとソファに座ったままの難破が「あ?なんでだよ泊まってけよ」と呼び止めた。
「私は帰るよ。家近いし、2人も泊まったら迷惑だろうし」
「なぁに言ってんだA!風呂沸いてっから入れよ!ほら伍代も!」
と、難破の母親が手に持っていた服を投げつける。
「Aは吟子の着ぐるみみてーなやつでいいだろ!」
「吟ちゃんの着ぐるみを!?」
「泊まってけよAー!あたしと話したいって言ってたじゃんか!全然話し足りねえよー!」
「今すぐ親に連絡してきます」
即座にスマホ片手に玄関まで出るAを見送り、その場の勢いに呆然としていると、低い声が「オイ」と俺を呼ぶ。難破猛が鋭い目つきで見上げてきて、思わずごくりと唾を飲み込んだ。
「…ツレんちだろ。遠慮なんかしてんじゃねえよ」
「……おう。」
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間宮祥太郎好き - 難破剛かっこいい惚れました。しかも今も胸キュンです。ずっと難破剛会いたい、会いたくてしかたないです。大好きです。 (2022年6月16日 22時) (携帯から) (レス) id: 63b7d0fc4e (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ - ナンバMG5の難波くんのお話なかったので見てみたら話が面白すぎて引き込まれちゃいました…!🫠間宮祥太朗さんファンなのでありがたいです😭!! (2022年6月16日 21時) (レス) @page38 id: 9f8ceec694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2022年5月24日 12時