#23 ページ25
・
深雪ちゃんの後方で剛が焦ったように「ちょっと…!」と呼びかけているが、深雪ちゃんは構わぬ様子である。
「ちゃんと謝ってください!人が一生懸命やってることを馬鹿にして。失礼だと思わないんですか!?」
猛兄何したの……?の気持ちと、それ以上絡まないで深雪ちゃん……の気持ちで、その場で震えてしまう。
「なんだこの女?」と歩み寄ってくる女を「おいカズミ」と猛兄は短い言葉で呼び止めた。それからゴキリと首の骨を鳴らすとゆっくりと深雪ちゃんに歩み寄る。
ヒヤリと冷や汗が首筋を伝った。圧がある猛兄の雰囲気にこちらが圧倒されてしまっている。
ピリピリとする空気の中、猛兄はおもむろにサングラスを外した。
「……マジで悪かった。勘弁してやってくれ」
深雪ちゃんに向かって頭を下げる猛兄を見て息を飲む。美雪ちゃんも剛も驚いたような表情を浮かべていた。
「あんたの言う通りだよ」
……猛兄はイカついしバカだけれど、筋だけはちゃんと通す。それを目の前で目撃して、視線が離せない。猛兄はカズミの方を向き真っ直ぐな視線を向けた。
「テメェも謝れ」
「え?だってこの女が、」
「謝れゴルァ!!!」
相変わらずの突然のクソデカ声にこちらまでびっくりさせられる。女……カズミはカニのように覚束無い足で美雪ちゃんに近寄ると、渋々といった様子で「……ごめんなさい」と呟いた。
「…それにしてもアンタ、俺に意見するとは気合い入ってんな。……オイ、オメェよぉ。男なんだからもうちょっとシャキッとしろよ。シャバすぎんだよ」
猛兄が顔を逸らし続ける剛の背中を叩く。それ以上接触される前にと私は慌てて猛兄と剛の間に身体を滑り込ませた。
「……さ、さあー!早く虹色の鳥見に行こ!?もう居なくなってるかもしんねえけどなあー!あははは!」
猛兄とカズミの背中を押してその場を離れる。
……剛も私も、いろんな面でバレてなきゃいいけど。
ともかくその場から離れることに成功して、ひとまずほっと息をついた。
234人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
間宮祥太郎好き - 難破剛かっこいい惚れました。しかも今も胸キュンです。ずっと難破剛会いたい、会いたくてしかたないです。大好きです。 (2022年6月16日 22時) (携帯から) (レス) id: 63b7d0fc4e (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ - ナンバMG5の難波くんのお話なかったので見てみたら話が面白すぎて引き込まれちゃいました…!🫠間宮祥太朗さんファンなのでありがたいです😭!! (2022年6月16日 21時) (レス) @page38 id: 9f8ceec694 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2022年5月24日 12時