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────某月某日。
休日なのでバリバリオフの私服(派手な色のジャージにタンクトップ、スリッパ)で外へと繰り出す。天気が良いのでふらっと散歩なんかいいかもしれない。都会の公園は広い池があったり綺麗に保たれているので、歩いてて気持ちが良いのだ。
「平和だなあ……、あれ?」
前方に見える男女。どちらもヤンキーであることは一目瞭然だが、男の方には見覚えのあるトサカが。一瞬見えた横顔からあれが知っている人物だと気づき手を振って駆け寄る。
「お〜い、猛兄ー!」
近寄ってきて初めて気づいたが、どうやら猛兄と連れの女はベンチに座ってスケッチブックを広げているシャバい男女に絡んでいるようだった。
何してんだと思っていると名を呼ばれた猛兄と、ベンチに座っていた男女がこちらを向く。ベンチに座っていた男女の顔を認識して目が飛び出した。シャバい格好の剛と私服の美雪ちゃんだったのである。
視線がかち合った剛は目を大きく見開いていた。多分私も同じ顔をしている自信がある。
「あ、あはははは猛兄偶然ー!こんなとこで何してんのー!」
美雪ちゃんに見られないようにぐりんと首を逸らす。声もわざと普段より低く出した。猛兄の肩をばしばしと叩きながら力づくで視線をベンチの2人から逸らせようと試みる。
「いやぁ、仲良くお絵描きしてんのをちょっとからかったらこの兄ちゃんに怒られちまってよぉ……」
剛何してんだ墓穴を掘るなバカと目線で訴える。
剛は猛兄から顔を見られないようにするのに必死だが、私は美雪ちゃんから顔を見られないようにするのに必死である。なおかつ猛兄を剛の方に向かせないようにするために私は無理やり身体の向きをそれとなく移動させているのだ、労力がえげつない。
「あ、ああー!そういやさ猛兄!さっきあっちにすげー珍しそうな鳥止まってたよ!虹色だった!ちょっと見に行かない!?」
ぐいぐいとその背中を押す。ついでに連れの女の腕も掴んでこの場から引き離そうと歩き出した。
「誰?この女」と言う女の問いかけに「コイツは俺の妹みてーなもんだよ」と猛兄が応える。正直いつ名前を呼ばれるか気が気ではない。汗の量が尋常じゃないのは気温のせいだけではもちろんない。
「……ちょっと!!」
ビクッと肩を跳ねさせ立ち止まる。顔を伏せながらそろりと声の方を振り返ると、美雪ちゃんが立ち上がってこちらを睨んでいた。
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間宮祥太郎好き - 難破剛かっこいい惚れました。しかも今も胸キュンです。ずっと難破剛会いたい、会いたくてしかたないです。大好きです。 (2022年6月16日 22時) (携帯から) (レス) id: 63b7d0fc4e (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ - ナンバMG5の難波くんのお話なかったので見てみたら話が面白すぎて引き込まれちゃいました…!🫠間宮祥太朗さんファンなのでありがたいです😭!! (2022年6月16日 21時) (レス) @page38 id: 9f8ceec694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2022年5月24日 12時