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#21 ページ23

Side.剛───回想:中学時代



「…何やってんだ俺」




血が滲む口端がじんと痛む。口端だけではなく、身体中が熱を持っている。漠然とした虚無感が身体中を蝕む。

舗装された道から運動部の掛け声や、カップルの声が聞こえる。まるでそことここで世界が隔てられているかのようだ。

「おんなじ高校に行けたらいいね〜!」というカップルの些細な発言がやけに頭に残る。そこで俺ははたと思った。…そうか、行きゃあいいじゃん、普通の学校。



「剛?」



声がする方を見上げると、舗装された道から草が伸びたこちら側へとAが降りてきた。Aの金に染めた髪が太陽に照らされてきらきらと輝く。



「今日もまたボロボロだなあ」



俺の顔を見て嬉しそうに笑い、いつも抱えてるカバンを漁る。萬田中なんて真面目にカバンを持ってくるやつの方が少ないが、こいつはその少ない人数のうちのひとりだ。しかし、中身は勉強道具ではないが。



「沁みるよー」



Aが肌身離さず抱えているカバンには応急手当用品が詰まっている。独特の匂いを放つ消毒液をガーゼに含ませ、俺の顔中に押し当てた。

喧嘩した後の、手当て特有の痛み。それからAの長い髪が重力に従って垂れ、俺の身体を擽るのも、Aが手当てしてくれてるとき特有だ。



「…お前は喧嘩した後の俺をよく見つけるよな」

「私が剛を付け回してるような言い方すんのやめてくれる?」



んふふ、と笑いながら絆創膏やガーゼを貼るAはやけに上機嫌で。

こいつは可愛いものとは無縁そうな顔をして、実は絆創膏にはきゅるりとしたリスのイラストが描かれている。こいつが俺の顔に居ると家に帰ったら必ず「Aに手当てして貰ったんか!」と家族たちが大きな口を開けて笑うのだ。



「……なあ、A」

「ん?」



俺、普通の高校に行きてえんだ、と出そうになった声はしかし喉から出ることはなかった。言ってしまったらAはどんな顔をするだろうか……俺がこれを言うことでAの表情が曇るのは少し、嫌だなと思った。



「……リスついてんの?今日も」

「あたりめーだろぉ!何なら今日は仕入れたばっかのウサちゃんも貼っといた!」



ほれ、と見せられたきゅるきゅるの目をしたウサちゃんのイラストと嬉しそうに口角を上げるAに思わず笑ってしまった。「可愛いだろー!?」と吠えるAの肩を叩く。

────こいつはただ笑ってくれてたらいい。今はそれで充分だと思った。

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間宮祥太郎好き - 難破剛かっこいい惚れました。しかも今も胸キュンです。ずっと難破剛会いたい、会いたくてしかたないです。大好きです。 (2022年6月16日 22時) (携帯から) (レス) id: 63b7d0fc4e (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ - ナンバMG5の難波くんのお話なかったので見てみたら話が面白すぎて引き込まれちゃいました…!🫠間宮祥太朗さんファンなのでありがたいです😭!! (2022年6月16日 21時) (レス) @page38 id: 9f8ceec694 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2022年5月24日 12時

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