#20 ページ22
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「それにしても誰かと思ったぜAー!詳しく聞かせろよ、何でシャベえ格好してシャベえ学校通ってやがる?テメーくらいの力がありゃレディースの頭になることだって簡単だろ」
「それに関しては元々興味ねーから。平凡が服着て歩いてるような両親が、喧嘩ばっかりして傷ばっか作ってくる一人娘を心配して、高校からは全うな人間になって欲しいっつったから、親不孝ものの私が今まで好き勝手やらして貰ってたぶんの恩返しを始めたの。わかった?」
「よくわかった……」
リビングの椅子に座らされ、正面でうんうんと頷きながら話を聞いていた猛兄は目頭を押さえ何かを堪えるようにくっと呻いた。
どうも落ち着かないからと瓶底メガネと髪ゴムは外され、気持ちはオフだが着てるのは白百合の制服、というアンバランスな状態になってしまっている。
「オメーがこんっっっなちっせー時から見てっからよぉ……お前のこと……妹みてえに思ってんだ……だからよぉ……」
「待って猛兄泣いてる?もしかして泣いてんの?」
「うるせえ!!!」
泣く要素あったかな?この話。このままウザ絡みが続く予感がしてげんなりしていると、剛が部屋に通じる階段の途中で手招きしていた。
「兄ちゃん、ちょっとA借りっからな」
その声が聞こえているのかいないのか。もはやまともに会話が通じなさそうな猛兄を置いて、招かれるままに剛の部屋へと進んだ。
ぱたん、と後ろ手に扉を閉める。剛はベッドに腰掛けると「好きなとこに座れ」と言った。何となく隣に座るのも気が引けて、ベッドの下の床に腰を下ろす。
「……ありがとな、さっきの話」
「さっきの、って」
「俺の生活、守ろうとしてくれてんだろ」
ああ、気まずくて逃げたくなったあの話。もう蒸し返したくないくらいの話題だが、ちらりと見えた剛の表情がとても柔らかくて驚いてしまった。
「正直、お前が味方で居てくれんのがめちゃくちゃ心強え。きっとこれから頼ることがあると思う。そんときは…助けてくれ」
深く頭を下げられて、全身が発火したように熱い。こんな緩みきった顔を見せる訳にもいかず、誤魔化すようにそっぽを向いた。
「…当たり前だし。何年幼なじみやってると思ってんの?助けてって言われなくても首突っ込んでやる」
私の言葉を聞いて剛が笑う。私も釣られて笑ってしまった。
「つか、家では市松に通ってることになってんだ…?」
「ああ…そういうことなんで夜露死苦…」
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間宮祥太郎好き - 難破剛かっこいい惚れました。しかも今も胸キュンです。ずっと難破剛会いたい、会いたくてしかたないです。大好きです。 (2022年6月16日 22時) (携帯から) (レス) id: 63b7d0fc4e (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ - ナンバMG5の難波くんのお話なかったので見てみたら話が面白すぎて引き込まれちゃいました…!🫠間宮祥太朗さんファンなのでありがたいです😭!! (2022年6月16日 21時) (レス) @page38 id: 9f8ceec694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2022年5月24日 12時