#15 ページ17
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草むらの影から頭だけを出してその様子を伺う。
市松の生徒たちにバレないように後を尾け、バレない位置に腰を落ち着けたとき、乱闘は既に始まっていた。
校門前で聞いてしまった不穏な独り言から察するに、あのシュッとした男が市松の1年最強とやらなのだろう。しかし、たった1人に寄って集って喧嘩する群れは見ていて気持ちのいいものではない。
「でも案外強いんだなー、あいつ」
遠目だが華奢なように見えるのに、自分より体格の良い相手を伸している。あの大人数相手にあの振る舞いは圧巻だ。
けれど数の暴力という名の通り、華奢な身体は押さえつけられてしまえば身動きが取れない。優勢かのように見えていた彼に焦りの表情が見える。
羽交い締めにされた身体はバイクの上に押し付けられ、私は思わず身を乗り出す。彼の前に立つ男がバットを手に取り、腕に目掛けて振り下ろした。隠れていることも忘れて舌打ちする。
1人に対して大人数、しかも道具を使ってくるなんざクズとしか言えない。苦悶の表情を浮かべる彼のことは名前も顔も知らないが、自分の格好も忘れて草むらから飛び出しそうになった、そのとき。
「おい!!」
声がする方向に目を向ける。
そこに居たのは────厳つい特攻服。噂の特服。金髪のツンツン頭。首から下がった御守り。口元には豪快に"殺"と書かれたマスク。
私はあの男のことを知ってる。それはもう、よく知っている。
「情けねえな。そんなもん使わねえと喧嘩もできねーのかよ。……喧嘩の仕方教えてやっから、どっからでもかかって来い」
挑発的に手招くその動作は彼を象徴するもののひとつだ。
「潰せー!」と市松の生徒が声を上げ一斉に彼に飛びかかる。視界を覆い尽くすほどの人数にも怯むことなく特服はその拳を叩きつけていく。
身体の芯から震えた。背筋を走る電流はこの景色を見ている時ならではの興奮。圧倒的な強さ。卑怯な手を使ってくる相手をものともしない動き。気づけばぐっと手に汗を握っている。
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間宮祥太郎好き - 難破剛かっこいい惚れました。しかも今も胸キュンです。ずっと難破剛会いたい、会いたくてしかたないです。大好きです。 (2022年6月16日 22時) (携帯から) (レス) id: 63b7d0fc4e (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ - ナンバMG5の難波くんのお話なかったので見てみたら話が面白すぎて引き込まれちゃいました…!🫠間宮祥太朗さんファンなのでありがたいです😭!! (2022年6月16日 21時) (レス) @page38 id: 9f8ceec694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2022年5月24日 12時