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────翌日、放課後。
いつものようにホームルームが終わり次第すたこらと家路についた私だったが、不意にスマホを忘れてきたことに気づいた。正直学校に忘れ物をしようが基本は気にしないタチだが、スマホや財布といった貴重品は別だ。面倒くさいけど学校に戻ることにする。
「あ〜良かった、あったあった……」
机の中にぽつんと取り残された携帯が手に当たり胸を撫で下ろす。通知を確認するも公式アカウントからのメッセージ程度しか入っていなかった。
もう教室には誰も残っておらず、夕陽に照らされて視界一面が橙に染まっている。
帰ろう、と踵を返し後ろの扉から出ようとしたところでふと、教室の背面に設置された黒板へと目線が吸い寄せられた。
それには明らかなおかしさがあって、思わず近づいてしまう。
私たちが入学初日に書いた自己紹介カード。ピンクの紙だったのでクラス全員の自己紹介カードを桜に見立てて貼られ、木のイラストが描かれているのだ。そのピンクが1枚分足りない。端っこのものだったら気づきもしなかっただろうが、ぽっかりと不自然に空いているのだ。他の自己紹介カードを見回す。
そして私は気づいてしまった。なくなっているのは難破剛の自己紹介カードだということに。
「……剛?」
ざわりと嫌な予感がする。
教室を飛び出し走る。どこへ?わからない。とにかくいてもたっても居られなくなったのだ。
校門を抜けようとしたとき、市松からぞろぞろと大人数が出てくるのとかち合いそうになって身を隠す。ただならぬ雰囲気である。バットを持っている者も見受けられ、あれは喧嘩だろうなと容易に想像がつく。
「……1年最強だかなんだか知らねえが、出る杭は打っとかねえとな」
何やら不穏な呟きまで聞こえてしまった。
市松の奴らの背中を見ながら考える。大抵、強い人間というのは争いと引き合うものなのだ。もしかしたら剛か、あるいは特服のことに関係があるかもしれない。怪しまれない程度に後を尾けることにした。
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間宮祥太郎好き - 難破剛かっこいい惚れました。しかも今も胸キュンです。ずっと難破剛会いたい、会いたくてしかたないです。大好きです。 (2022年6月16日 22時) (携帯から) (レス) id: 63b7d0fc4e (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ - ナンバMG5の難波くんのお話なかったので見てみたら話が面白すぎて引き込まれちゃいました…!🫠間宮祥太朗さんファンなのでありがたいです😭!! (2022年6月16日 21時) (レス) @page38 id: 9f8ceec694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2022年5月24日 12時