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ピンポンピンポンピンポン、と難破家のインターホンを連打する。
あれからすぐに家に帰り制服を脱ぎ捨てジャージに着替え、瓶底メガネとポニーテールに結んでいた髪ゴムを放り投げて家を飛び出した。とにかく走った。徒歩5分圏内の難破家に向かって走った。とにかく松の無事を知りたかったのだ。もし帰ってなかったら。考えただけでぞっとする。
「うるせーーな!!!こんな時間に誰だよ!!!」
バァンと玄関の扉を開けっ広げ、鬼の形相で出てきた猛兄の肩を引っ掴んで揺する。
「猛兄!!松は!?松いる!?」
「ああ?A?なんで髪黒くしてんだ。急にどうしたんだよ」
「だから松が居るかって訊いてんだよ!」
「松ならいるよ!」
ひょこりと顔を見せた吟ちゃんが松を抱えていて心底ほっとした。
「松〜〜〜〜〜!!」とその頭をわしゃわしゃと撫で回す。やっぱりお前は賢い犬だよ、ちゃんと家に帰ってたんだ。ほっとしたらどっと疲れてしまった。
「こんな時間にどうした?A」
何事だと勝さん、ナオミさんが玄関に姿を見せる。
勢い余って押しかけてしまったが、言い訳を考えてなかった。まさか学校に松が来ていたなんて言えるはずがない。
「あ、ああ〜〜〜〜、えっと、さっきまで昼寝?してて、松が居なくなる夢、見てたんだけど、それが夢なんか現実なんかわかんなくなって、思わず、見に来ちゃったって感じっす……」
「A……オメー可愛いとこあんじゃねえか〜〜!せっかくだし上がってけよ!」
満面の笑みのナオミさんが家の中を指さす。
お誘いはとても有難いが、こんな時間に家を飛び出してしまったのだ、両親は顔面蒼白に違いない。
「あ、や、すんません、親が多分心配してるんで。今日は帰ります。また今度お邪魔します。うるさくしてすんませんした!」
「そうかあ?んじゃ剛、送ってってやれ」
「……ああ」
勝さんに呼ばれた剛が出てくる。
あ、家では金髪なんだ、そりゃそうか。と何処か久しぶりに見たような気のする見慣れた姿に目をぱちぱちとさせる。普段はツンツンの頭が大人しく落ち着き、いつも寝間着として着ている水色のゆったりした服を身にまとっていたので私は慌てて剛が出てこようとするのを手で止めた。
「あ、もう風呂入った?悪いよ、大丈夫ひとりで帰れるから。すぐそこだし」
「…いや送る。夜だしな」
目が合わない剛が先に歩き始める。難破家に「お邪魔しました!おやすみなさい!」と告げて小走りでその背中を追った。
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間宮祥太郎好き - 難破剛かっこいい惚れました。しかも今も胸キュンです。ずっと難破剛会いたい、会いたくてしかたないです。大好きです。 (2022年6月16日 22時) (携帯から) (レス) id: 63b7d0fc4e (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ - ナンバMG5の難波くんのお話なかったので見てみたら話が面白すぎて引き込まれちゃいました…!🫠間宮祥太朗さんファンなのでありがたいです😭!! (2022年6月16日 21時) (レス) @page38 id: 9f8ceec694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2022年5月24日 12時