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#11 ページ13





────放課後。

部活がある生徒は各々部室へと向かい、用事がない生徒はそのまま帰宅する。

私もすぐに帰っても良かったが、昨日、一昨日と現れる特服について気になっていたのだ。どちらも放課後に、さらに島崎がいるところに出現している。何かしら情報を掴むことが出来るかもしれないと島崎の姿を探しに学校中を歩き回っていた。



「……あれ?」



一瞬見えた、とてとてと走り去る犬の後ろ姿。

学校に迷い込むとかあるんだ、学園ドラマじゃんと半ば感動しながら後を追う。────いたいた。犬は教室の中をじっと覗き込み微動だにしなかった。



「犬ー、どこから来たのー……って、あれ?」



首に巻いているのはリード…ではなく、御守り。

かなり見覚えのある、というか見覚えしかない。我が幼なじみの首からぶら下がっているのをよく見ていたその御守りと同じものがこの犬の首に。ということは。



「おまえ松!?なんでこんなとこに、」



私の声に反応したように耳をぴんと立てこちらへと顔を向ける。

慌てて抱え上げ、小走りで学校から出た。松が見つめていたのは美術室の中だったとも知らずに。



《この匂い…A!?A!!アニキが!アニキが難破を裏切ってたんだ!Aも知ってたのか!?》



キャンキャンと吠える松の頭をよお〜しよしと撫でくりまわす。

もし誰かに見つかって連絡が難破家に行ったら大変である。一刻も早く難破家に送り届けないと。



《A!!離せ!!クソッ!!》

「うわっちょっ松!暴れんな…っうわ!」



私の腕の中から飛び出した松が全力疾走で逃げ出してしまった。追いつけるわけもないスピードである。

さああと頭から血の気が引く。

松は賢い犬だ、それはわかってる。わかってるけどもし松が家に帰らなかったら。ここで取り逃した私の責任だ。

小さい頃からそばに居て可愛がり続けていた松がいなくなる。それは考えるだけで胸が張り裂けそうな気持ちだった。



「松…!松ーーー!!!」



周りに白百合の生徒がいるのかなんて関係ない。もうとっくに姿が見えなくなってしまった松の名前を呼ぶことしか私にはできなかった。

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間宮祥太郎好き - 難破剛かっこいい惚れました。しかも今も胸キュンです。ずっと難破剛会いたい、会いたくてしかたないです。大好きです。 (2022年6月16日 22時) (携帯から) (レス) id: 63b7d0fc4e (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ - ナンバMG5の難波くんのお話なかったので見てみたら話が面白すぎて引き込まれちゃいました…!🫠間宮祥太朗さんファンなのでありがたいです😭!! (2022年6月16日 21時) (レス) @page38 id: 9f8ceec694 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2022年5月24日 12時

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