中学時代バリバリのヤンキーだった私が普通科高校に入ったら同じくバリバリヤンキーだった幼なじみと遭遇した。

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────翌日。

何やら島崎の席の付近に人が集まっている。人と人の隙間から覗き込んでぎょっとした。顔中ガーゼだらけの島崎がしおらしく座っている。



「じゃあまたその特服の人に助けて貰ったの？」

「おう。……触んなって」

「ど、どうしたの、島崎くん」



ずり下がった瓶底メガネを掛け直して尋ねる。どうした、なんて聞かずとも想像に難くないのに思わず訊いてしまった。

隣の巻ちゃんが「市松の生徒に連れてかれたところを、またあの特服の人が助けに来てくれたんだって」と教えてくれる。

昨日も市松に絡まれたってこと？……目的は特服へのお礼参りだろうか。



「……あのさ、やっぱりヤンキーなんてやめたら？」



口を挟んだ剛の顔を見て、さっきよりもぎょっとしてしまった。何なら少し変な声が漏れていたかもしれない。

品行方正の言葉が似合う男の顔に1枚のガーゼが。これは一体何があった。



「見た目で判断されちゃうし、トラブルにも巻き込まれやすいよ…」

「やめねえよ。たしかに今は格好だけかもしんねえけど、俺はアニキみてえな男の中の男を目指してんだ」

「アニキ……？」

「特服の人のこと。アニキって呼んでるんだって」



巻ちゃん解説ありがとう。2度もその身を助けてくれた特服のことを島崎はえらく慕っているようだ。



「アニキ、アニキって言うけどさ。暴力で解決って考え方がさ。格好もダサかったし」

「え、深雪ちゃんも特服の人、見たの？」

「見た。見たの。……でね、あの特服、あたしにブスだなんて言ってきたんだよ！？」



特服の特徴をもっと聞き出そうとしたのにヒートアップしてしまった深雪ちゃんはその場でおいおいと泣き出してしまった。これ以上情報は集められなさそうだ。

偶然視界の端に映った剛まで泣きそうな顔をしていたのは一体なぜだったのだろうか。私には知る由もない。

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