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「ただいまぁ」



そのままどこにも寄り道することなく帰宅したおかげか、時計はまだ4時半を指しているところだった。

玄関まで迎えに来た母さんが私の姿を頭のてっぺんから爪先まで見下ろし、ほっとした表情を浮かべて「おかえり」と呟く。



「学校はもう慣れた?」

「まあ、そこそこかな。知っ……ゴホン、友達も、2人?出来たし……」



知ってる人がいたから、と出そうになった口を無理やり閉ざす。

剛が白百合に通っていることは親であろうが誰にも言わないと約束したし、そもそも両親揃って私が難破家と関わりがあることにあまり良い顔はされていない。両親にとっては関わりたくない人種なのだ、難破家の人々というのは。だから余計に言えるはずがない。

「今日の晩ご飯はオムライスだからね。早くお風呂入っちゃいなさいね」

「はーーい」



ぱたん、と自室の扉を閉める。白百合の制服を脱ぎ捨て、着慣れたジャージに袖を通す。瓶底メガネと髪ゴムを外して机に置き、髪をかき上げればいわゆるオフモードに切り替え完了である。ベッドに勢いよく飛び込んで全身を脱力させた。



「特服、ね……」



今朝島崎が口にしていたことがどうも気になる。

市松の生徒から助けて貰った、特攻服、それから様子を見に行くだけだと後を追った剛。これらが何も関係ないとは到底思えないのだ。幼い頃から剛を見ていたからわかる。

彼はあまりに優しい。もしかしたら……なんて考えてしまうのだ。

本人に聞けるはずもない。気まずそうに逸らされた目線は話す気がないことを示している……と、思う。話す気があるなら話してくれるはずだ。多分。

モヤモヤした気持ちを振り払うように目を閉じた。

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間宮祥太郎好き - 難破剛かっこいい惚れました。しかも今も胸キュンです。ずっと難破剛会いたい、会いたくてしかたないです。大好きです。 (2022年6月16日 22時) (携帯から) (レス) id: 63b7d0fc4e (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ - ナンバMG5の難波くんのお話なかったので見てみたら話が面白すぎて引き込まれちゃいました…!🫠間宮祥太朗さんファンなのでありがたいです😭!! (2022年6月16日 21時) (レス) @page38 id: 9f8ceec694 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2022年5月24日 12時

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