doggy days ページ16
「いかがなされましたか」
コイツ。気づいてやがって首をかしげている。
「オイ」
より一層不機嫌な声が出てますますコイツの思う壺かと若干腹立たしくなる。
「はい」
キッと正面から大きな瞳が逃れもせず覗いてくる。ああ、俺は今どんな眼をしているかな。
「それ、わざと？」
先に目を反らしたのはこちら。苛立ちを抑えるために。見透かされないように。狂気が溢れそうなことを。本当は泣きそうなことも。
「何が、でしょう」
「…外じゃねんだから。敬語はナシな」
「…ふふ。」
気が気でない。この一言で尽きる。
メンタルは強い方だと思っていた。お前に出会う前はメンタルを揺さぶられるような出来事はなかったし、そこそこ平穏でそこそこ成功した人生だったと思う。誰かを特別に愛すことはなかったけれど、誰かを特別憎んだこともない、和やかな日常だった。
お前と会ってから、周りの人間は変わったと言った。俺からすれば周りの人間が変わったように思う。お前がすべてになった。もとより然したる興味はないけれど、世の名声も社会的地位も二の次になった。今まで気まぐれに作りあげてきた創造物が偶然金になり、以降作れば作るだけ価値を上げ金になった。それが今では芸術を世に送り出す理由はただひとつだ。アイツと暮らす金。それだけあればあとはどうでもいい。
「智くんさあ」
「何」
「ほんっと嫉妬深いよね」
「…悪ぃか」
「イヤ？かわいいなと思って」
「ふん。」
「拗ねないでよ」
「拗ねてねえし」
「もーごめんて」
「…いいって」
「僕は、…俺はね。あなたしかいないんだよ。帰る場所も話をするのも何をするのにも」
「………」
「俺はあの屋敷から出られる日をずっとずっと夢見てた。どこかでそれは叶わないと諦めつつもじっと機会を待っていた。あなたが、俺を救い出さなければ、俺はきっと今でもあそこにいて、何なら家畜のような扱いも受けていたかもしれない。嬉しかった。夢のようだった。でも、どうして俺だったの？」
「…偶然だよ」
「偶然なわけがあるか！アイツは俺を絶対に外へ出したりなんかしない。来客がいるときですら極力会わせないようにしていたんだ。それがなんで、あなたの一声で…」
「俺お前の屋敷行ったことあるぞ」
「え…」
「勿論お前には会ってない。ただ、何かを隠しているのは気づいた。俺はそれが気になってね」
お前は知らない、だろうけど。
go to camp!! (※2020/09/19sygrより)→←doggy days
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Mia.(プロフ) - きよさん» きよさん、コメントありがとうございます。sygrの山キャンプがあまりにも尊く…、つい書きました。久しぶりの執筆でしたので稚拙なものとなりましたが、あたたかいお言葉本当に嬉しかったです。励みになりました。またいつか更新した際はどうぞ宜しくお願いします。 (2020年9月23日 10時) (
レス) id: 0519a4140b (このIDを非表示/違反報告)
きよ(プロフ) - Mia.さん、山コンビのキャンプ尊いです 。翔くんもキャンプにはまりそうでしたよね。でもやっぱり、二人だから楽しかったし、やりたくなったんですよね！ドンピシャなお話しありがとうございました。 (2020年9月20日 22時) (レス) id: ae2dee5c90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Mia. | 作成日時：2019年1月23日 18時
