つなぐ手と手 6 (ページ28)

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｢あのね。アキちゃん、いのちゃんの結婚誰よりも喜んでたんだよ。｣

｢えっ？｣

｢いのちゃんが結婚した後結婚を全然許してくれない両親と縁切って独り暮らししたんだ。｣

｢何で光そんなこと知ってるの？｣

｢いのちゃんと薮が結婚してしばらくした頃アキちゃんから連絡が来て『2人のこと支えてあげて』って。｣

｢アキ……。｣

｢アキちゃんに代わるね。｣

電話がアキに代わるとアキは泣きそうな声で

｢お兄ちゃん。お兄ちゃん脳の感情神経の病気で感情の偏りがあるんだって。そんなお兄ちゃんが初めて人を好きになったのが同棲だったけど私嬉しかった。｣

と言った。

｢えっ？アキ、今感情神経の病気って。｣

｢家族で知らないのお兄ちゃんだけだよ。お兄ちゃんね感情に偏りがあるって小学生の時先生に言われて。調べてもらったら世界でも珍しい病気だった。｣

意外な話しに伊野尾は何も言えなかった。

｢いろんな物への興味も少ない。あまり感情を表に出せない。そんなお兄ちゃんが人を好きになって、好きな人を助けるために妊娠して。私嬉しんだよ。｣

そんなアキの言葉が胸に刺さり泣いた。

｢宏太くんと結婚してからお兄ちゃんちゃんと感情表現できる様になって良かったね。｣

ひとしきり話しが終わると伊野尾は電話を切った。

｢いのちゃんどうしたの？｣

泣く伊野尾に知念はそっと声をかけた。

｢とりあえずそこのファミレス入ろう。｣

有岡に言われファミレスに入ることに。

年が明けて2日。

さすがに店はガランとしていた。

席に座りしばらく、伊野尾が落ち着くのを待った。

｢いのちゃんがマジで泣くの初めて見た。｣

有岡は伊野尾が泣くのを物珍しそうに見た。

伊野尾が落ち着くとさっきの電話について話した。

｢そうだったんだ。ヒカもアキちゃんもいのちゃん思いだね。｣

知念が嬉しそうに言うと山田も有岡も頷いた。

｢でもいのちゃんにそんな病気持ってたなんて知らなかった。｣

山田がびっくりすると伊野尾も

｢オレも今初めて聞いたから。1回病院で診てもらおっかな。｣

何だかスッキリした伊野尾はいつも通りしっかり食事をした。

久しぶりにしっかり食事をする伊野尾をみんな嬉しく思った。