つなぐ手と手 3 (ページ7)

今日:18 hit、昨日:3 hit、合計:56,162 hit

3-7 ページ7

7会を開く日はちょうど薮の転院の日と同じになった。
山田は珍しく岡本と2人で薮の病院を訪れた。
｢薮ちゃん。｣
｢山田、圭人。来てくれたんだ。薮今検査室で血圧測ってる。｣
｢いのちゃんごめん全然来れなくて。｣
｢圭人大学とかで忙しいじゃん。｣
｢うん。｣
診察室の前で3人話しながら待ってると綺麗な女性が伊野尾に話しかけてきた。
｢診察室の前に居るとか、宏太また体調崩したんだね。｣
｢違うよ。今日転院するからそのために今血圧測ってる。｣
｢転院？伊野尾くん。全然話し分からないんだけど、前に家に来た時宏太倒れたって出て行ったきり音信不通なんだもん。｣
状況が理解出来ない山田と岡本。
山田は伊野尾の裾を引っ張ると
｢誰？｣
と聞いた。
｢あぁー。この人？薮の元カノ。｣
｢どうも。一ノ瀬愛莉です。いつも宏太がお世話になってます。｣
山田も岡本も耳を疑った。
｢お世話になってますって？｣
岡本は思わず聞き返した。
｢愛莉ちゃん。何でここに居るってわかったの？｣
｢当たり前じゃない。宏太のことは全部知ってる。｣
｢いのちゃん。オレと圭人にもわかるように話して。｣
｢実はね…………｣
その時処置室のドアが開き薮が出てきた。
｢宏太。｣
一ノ瀬は薮に抱きついた。
｢愛莉どうしたの？…………まさか。｣
｢ごめんね。私宏太の全部知ってたのに何もしてあげられなくて。｣
｢お願いだからストーカーみたいなこと辞めてよ。｣
山田も岡本も唖然とした。
｢だって……宏太と離れたくないんだもん。｣
｢じゃあ何で別れる時素直だったわけ？｣
｢好きな人が幸せならって。｣
｢いのちゃんが迷惑するとか思わないの？｣
薮と一ノ瀬がもめてると山田が
｢そういえば薮ちゃん息苦しくないの？｣
と聞いた。
｢うん。転院するにあたり薬中断したら平気になった。｣
薮は時間が無いと病室へ荷物をまとめに行った。
｢伊野尾くんありがとう。私が転院先の病院連れて行くから。｣
あまりに身勝手な一ノ瀬に内気な岡本が怒り始めた。
｢いのちゃん居るのにあまりに身勝手だと思わないですか？｣
｢身勝手？私が？｣
｢帰るのはあなたじゃないですか。｣
そんな岡本に伊野尾は
｢圭人もういいよ。｣
と言い一ノ瀬に転院に必要な書類が入った封筒を渡し
｢じゃあ薮のことお願いね。｣
と言って伊野尾は玄関へ向かって歩いて行った。
山田も岡本も伊野尾の後を追っかけた。