つなぐ手と手 3 (ページ20)

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｢ただいま。｣
山田が家に着くとなんだかコゲ臭かった。
ダイニングキッチンに行くと有岡が料理をしていた。
｢大ちゃんどうしたの？｣
｢涼介の負担減らそうと料理の練習で涼介の好きな麻婆茄子にチャレンジしたんだけど………｣
山田はフライパンの中を覗いた。
｢水分のある物入れた？｣
｢水？入れてないよ。｣
｢水分ない強火のところに知ってる調味料入れたって焦げるよ。｣
山田は有岡に説明しながら作った。
｢調味料は全部先に混ぜておく。｣
｢酒？これが水分？｣
｢うん。後水もね。さっき大ちゃんひき肉に調味料全部入れて炒めたでしょ？｣
｢よくわかったね。｣
｢それじゃ失敗するから。でも何も見ないでよく材料わかったね。｣
｢いのちゃんに聞いた。｣
｢いのちゃんもたまに料理するもんね。｣
山田と有岡。イチャイチャしながら料理を作ってると薮が帰って来て2人を見るなり固まった。
山田は恥ずかしそうに有岡から距離を取ると
｢薮ちゃんおかえり。どこか行ってたの？｣
と聞いた。
｢あぁ。うん。散歩。｣
｢1人？いのちゃんは？｣
｢いのちゃんならさっきオレに麻婆茄子の作り方教えた後病院に行った。｣
山田はピンときた。
｢ホルモン注射射ちに行ったんだ。｣
｢涼介も子宮移植前にやってたあれ？｣
｢そう。女性ホルモン射たないとせっかく移植しても機能しないらしいんだ。｣
｢やっぱりいのちゃんって何考えてるかわかんない。あんなに子ども産むの嫌がってたのに突然『山田見てたら子ども欲しくなった』って言うんだもん。｣
そう言う薮に山田も有岡も何も返せなかった。
｢そうだ｡あのさぁ。オレ仕事無期限で休む事にしたから。｣
突然の薮の話しに山田は困惑した。
平然な有岡に山田は
｢大ちゃん驚かないの？｣
とツッコんだ。
｢だって昨日その話してたよ。でも涼介、�木と話してて聞いてないんだもん。｣
｢雄也には話したの？｣
｢うん。山ちゃんが出かけた後すぐに。さてと、薬飲まなきゃ。｣
薮は病院から処方された薬を決まり良く飲んだ。