つなぐ手と手 3 (ページ13)

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しばらく病室で薮と話した後帰って行った。
山田と有岡はまた一緒に暮らすためマンションに戻って来た。
｢ただいま。｣
中へ入ると中島が山田の荷物を持って来て居た。
｢裕翔くんありがとう。｣
｢それは良いんだけど、どこ行ってたの？遅かったじゃん。｣
｢薮ちゃんの病院だよ。オレと涼介のこと全て話すつもりだったけど知ってた。｣
｢うん。だってオレ話したもん。｣
伊野尾はそう言いながらお茶を出した。
｢全て解決したし良いかなぁって。｣
｢でも2人から口止めされてたんでしょ？約束守りなよ。｣
中島に怒られた伊野尾だが、ヘラヘラしていた。
｢オレこの後仕事だから行くね。｣
そして中島はすぐに帰って行った。
中島が帰ると伊野尾は山田と有岡をダイニングテーブルに座らせた。
｢なになに。どうしたの？｣
そんな有岡の言葉にも反応せず真面目な顔をする伊野尾。
｢山田。薮が意識無いってウソついてくれた時はありがとう。｣
｢ありがとう？｣
｢薮が病気になったって知った時からずっと泣きたい気持ち抑えてて正直精神的に変になりそうだった。｣
様子の変な伊野尾に山田は
｢どうしたの？｣
と聞いた。
それでも伊野尾はマイペースに話しを進めた。
｢薮泣き虫だからオレが泣いちゃ絶対いけない。薮が泣きたい時、不安な時オレが泣いてたらダメだと思って泣く気持ち抑えてた。でもあの時は自分に素直になれた。屋上のバルコニーで泣けたんだよ。｣
山田も有岡も言葉が出なかった。
｢山田ありがとう。｣
お礼を言われた山田はそっと頷いた。
｢大ちゃん。パンケーキ食べながらオレの愚痴聞いてくれてありがとう。｣
｢うん。｣
｢誰にも愚痴言えなくて辛かった。でも、大ちゃんが黙ってて聞いてくれた。ありがとう。｣
｢うん。｣
そして少し沈黙が広がった。