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正直怖い。
仕事は欲しい。
でも仕事が増えれば増える程努力して這い上がって来た山田に申し訳なくなるのはなぜなんだろう?
デビュー当時から思ってた。
努力なんてしてないボクのこと絶対嫌いだって。
そう思い込んで自分から距離を置いて…………
だからって自分を変えたくない。
仮面を被ったって長続きしないし辛くなるだけ。
そうやって距離を置いてかなり経つ。
初めて来た山田と2人きりのロケ。
ドキドキして事前の話しの時も
「本当に2人っきりで大丈夫?」
って確認なんかしちゃって。
ロケ前日もドキドキして全然寝れなかった。
ロケ当日。
この日はいただきハイジャンプレギュラー1発目の父親のいない子に山田が父親代わりになってあげる企画。
ボクは子役の子と理想の親子を演じなきゃならない。
でも山田のことは考えず自分のやりたいように。
それだけを考えていたらロケの役割そっちのけで子役の子と普通に遊園地を満喫してしまった。
正直のことを言えば不器用な自分が何かするより邪魔しないようにした方が良いって、結局山田のことを考えてしまった。
ロケ終了後山田は真っ先にボクの元へ来て
「お弁当上手に出来てたよ。」
って、褒めの言葉から。
嫌だよね。褒めが先って。
だからちょっとビビって
「あっ、うん。ありがとう。」
って。気のないような返しになっちゃって。
でもその後山田は何も言わなかった。
帰りのロケバスの中でも山田は何も言わない。
「あれで良かったんだ。」
山田と別れるまで自分にそう言い聞かせながら重たい空気を凌いだ。
それから暫く山田のロケはなかった。
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作者名:赤+青=紫 | 作成日時:2016年12月21日 16時