四神物語＊ars (ページ19)

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ニノは大ちゃんの部屋に向かっていった。

その後ろ姿をただただ見つめるだけの俺。

ニノだって怖いはずなのに。
悪いのは俺のはずなのに。
そう思っていてもいつもニノのあの
”大丈夫“に安心して、甘えてしまうんだ。

ごめんね、ニノ。
俺が弱いばっかりに。

翔ちゃんは相変わらず静かに勉強していて
このことに興味がないみたいに見えるけど。

俺は知ってるよ。
ほんとはニノの代わりに自分が行ければ…
って考えてることくらい。

だってさっきからいっぱい間違えてるもん。
頭よくない俺にだって分かる間違いをね。

でも翔くんが代わったりとかしたら
大ちゃんは怒るから。
それはまた新たな恐怖を生むだけ。

ニノ、早く帰ってきて。
早くあの暗闇から抜け出してきて。

待つしかできない俺にできるのは
そう願うことくらい。
多分俺の時だって二人もそう願ってくれてると思う。

「…しょーちゃん」

一人で考えこむのが辛くなって
俺は翔ちゃんに話しかけた。

自分でもびっくりするくらい
その声は弱々しくて震えてて。

「ん？」

と優しく返してくれた翔ちゃんの頬には
涙がつたっていた。

「しょーちゃん、辛いよ」

「そうだな。大丈夫、ニノはすぐに帰ってくるから」

俺を励ましてくれる翔ちゃんの声も
少し震えててやっぱりおんなじなんだなって思った。

「大丈夫。いつか終わるよ」

この世界が救われたらなー…

と翔ちゃんは遠い目をして言った。