17 ページ18
俺が部屋に入ると
窓にもたれかかった大野さんが冷たい目で
俺を射抜くように睨んでいて。
「和遅かったね。…翔くんから聞いてなかったの？」
ここで聞いてないなんて嘘を言っても
彼にはお見通しだろうから口を引き結んで黙り込む。
「………まあいいけど。
翔くんから多少聞いたけどバレたんだって？」
「はい。相葉さんが俺の友達にぶつかって
それでその友達の手が鼻に当たって…」
「ふーん。じゃ、相葉ちゃんが悪いの？」
俺をぴたりと見据えている大野さんの目は
俺がどんな選択をするか試しているような
目つきで。
まるで楽しんでいるかのように見えた。
そりゃ俺だって怖いからこの場から一秒でも
早く逃げたい。
相葉さんのせいなんです！なんて言って
この恐怖から逃れたい。
……でもね、俺らは仲間なんだ。
相葉さんが苦しむ姿を見るより
俺がこの恐怖に耐える方がまだ何倍もマシだ。
「違います。俺のせいなんです。
俺が気をつけてなかったから…」
すると大野さんはつまんなさそうに
俺から目を逸らした。
「それでいいの？」
「はい。悪いのは俺です」
「…あっそ。じゃあ賢い和なら僕の言いたいこと分かるよね？」
ああ。来てしまった。
ついにこの時が。
「………はい」
「おいで、和」
その言葉を合図にしたかのように俺の身体は
大野さんの方へ引っ張られていく。
怖い。
怖い。
怖いっ！
いつまで経ってもこの感覚には慣れなくて
今も冷や汗が背中をつたっていた。
気がつくと俺と大野さんの距離は
顔がくっつくくらいに近くなっていた。
「…今日は白虎だね」
ぽそっと大野さんが呟いた。
俺の長い夜が始まるー……
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 195人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：智帆
| 作成日時：2013年6月22日 9時
