四神物語＊ars (ページ17)

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16 sideN ページ17

潤くんを見送って、お風呂入って、
相葉さんの壊滅的に不味い夕飯を食べて。
ほっと一息ついたまどろみの時間。

「行かなくていいの？」

隣で勉強していた翔さんが
のんびりとしている俺に静かに言った。

腹筋をしていた相葉さんが
ビクリと身体を震わせる。

「やっぱ大ちゃんのとこ俺も行った方がいいかなぁ？」

あなたもう涙目になってますよ。

「大丈夫ですよ。呼ばれたの俺なんでしょ？翔さん」

「うん。ニノ呼んでって言ってたよ」

「でっ…でもそれじゃニノが…」

「だぁーいじょうぶですって。
…もう慣れてますから」

じゃあ、行ってきますね。と俺は部屋を出た。

頭ではさっきから『白虎、白虎』と呼ぶ声が
響いている。

大野さんの部屋の前に着く。
俺は深呼吸して中にいる
彼に向かって呼びかけた。

「大野さん？」

しばらくしーんと部屋の中は
静まり返っていた。

もう寝ちゃったかな？
それだったらいいのに。

でもそんな俺の期待は無惨に壊されて。

「…入って」

と、短い答えが返ってきた。

この声は怒ってる。
長年の経験が入ってはいけないと警報を鳴らしている。

それでも襖に手をかけると、
その手が小刻みに震えていた。

怖いんじゃん。
俺も相葉さんとなんら変わらない。
さっき大丈夫なんて言ったくせに。

いつまで経っても弱いままの自分を自嘲して
それを断ち切るように襖をさっと開けた。