四神物語＊ars (ページ15)

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櫻井さんが部屋を出て行って
10分くらい経った頃だろうか、
襖が開いて神妙な顔をした櫻井さんが
帰ってきた。

「翔ちゃんおかえりー！」

相葉さんがすかさず櫻井さんに抱きつく。

櫻井さんはそんな相葉さんの頭に
優しい顔をして手を置きながら

「潤くん、ニノ、記憶消さなくていいって」

と、微笑んで言った。

「えっ!?」

和は驚いて目をまんまるにしてる。

「ほんとに…いいんですか？」

「うん。でも条件が二つあるんだけど…」

どんな条件だろう。
俺はなんだかわからなくて思わず身構えた。

「潤くんさ、この家に住んでくれないかな？」

「へ…？」

どんな事を告げられるのだろうと緊張していた俺にとってはその言葉は意外なもので、
思わず間抜けな声がでた。

「そんなことでいいんですか？」

「そんなことでいいんだよ。潤くんって料理作れる？」

「姉ちゃんが結婚してからずっと一人暮らしなんでそこそこは…」

「じゃあご飯作ってくれればおっけー！
俺ら誰も作れないからさー」

あははと櫻井さんが照れ笑いをする。

「たまに相葉さんが作るんだけどこれが壊滅的に不味くて」

「なっ！ニノ！失礼だぞ！」

「ほんとのことですもん」

相葉さんに冷たく言い放ってから
和が俺の目を覗き込んだ。

「ねっ、潤くん。一緒に住もうよ。
そしたら記憶も消さないで済むし」

俺としては記憶を消さなくていいし
和と一緒に住めるしで良いことばかりだ。
すぐに首を縦に振った。

でもここで気になることが一つ。

「あのー…二つ目の条件って…？」

「ああ！それはニノが智くんの部屋に行けばいいってさ」

「分かりました」

このとき和の表情が少し曇ったことに
浮き足立った気持ちでいた俺は
全く気づかなかった。