四神物語＊ars (ページ21)

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「…であるからここはー…」

化学の熱血な先生がだらだらと説明を
している声が遠くに感じる。

この先生エネルギッシュなのはいいんだけど
説明が分かりづらいし話が長いんだよなぁ。

そんな授業だから俺が夢の世界に引き込まれるのも仕方のないことで。

初夏の暖かい陽気も手伝って
俺はうとうとしていた。

「じゃあここを松本ー」

んにゃ？
なーんか呼ばれたような…

「松本ー！」

はっ！

ガバッと俺が起きあがると
熱血教師のイラついた目と目があった。

えーっと、えーっと…

場所さえ分かれば俺はわりと化学は得意なのでなんとか分かるはずだ。

あった！
授業の流れからしてここだろう。

「塩化ナトリウムです」

「………正解だ」

先生は悔しそうな顔をしてそう言った。
先生、感情顔に出過ぎですよ。

授業が終わったあと、
和が笑顔で俺のところに来た。

「潤くんすごかったね！」

「まあな。化学で助かったよ」

「今度俺にも教えて！じゃあまたあとでね！」

「おう！」

化学が最後の授業だったので
俺は昨日の生徒会の話し合いの続きがある和と別れて家に帰った。