43 ページ43
結局、四郎は翌日には元気になり、何事もなかったかのように仕事に出かけていった。
三郎もようやく風邪が治り、旅行の写真を現像したり、楽しそうにしているが、落ち着いていた目眩や倦怠感に悩まされる日が再び増え、兄弟たちが心配をしている。
「行ってきまーす！」
「はーい！気をつけてね。」
そんな三郎だが、今日は以前から約束していた、カメラマンの田崎との食事の日で夕方、一郎に見送られ、久々の外出をしている。
田崎に指定された、こじゃれた居酒屋に入っていく。
プライベートが守られた個室の居酒屋で、ゆっくり過ごすにはちょうどよい。
田崎は三郎よりも10歳も年上だが、三郎は田崎のことを兄のように慕い、田崎は三郎のことを弟のようにかわいがっており、お互いに近況を話したり、カメラの話をしたり、楽しく盛り上がっていた。
「三郎、ちょっとまじめな話な。」
「あ、はい。」
まじめな話と言われ、三郎は姿勢を正す。
「今度な、オレの知り合いが編集長になって1冊、雑誌を作ることになった。
オレがカメラマンとして関わるんだが、そこで任されている企画をお前と一緒にやりたいんだ。
今回はモデルとしてではなく、カメラマンとしての三郎に協力してもらいたい。」
「ありがとうございます！でも…」
「あぁ、気にするな。
体調のことはオレなりに把握しているつもりだ。それでもお前とやりたいと思ったんだ。」
「…ありがとうございます。
でも何でおれを？」
田崎は三郎にそっと資料を渡す。
「この企画の内容を見たとき、お前と絶対にやりたいと思った。」
その雑誌は季刊誌で、子育てに関する様々な情報を提供するもののようだ。
その中で田崎が担当するのが、家族・兄弟の絆を写真で伝えるコーナーなのだ。
兄弟を愛し、兄弟に愛される三郎とこのコーナーを作っていきたい。
それが、田崎が三郎を選んだ理由だった。
「一個だけ条件がある。」
「はい。」
「体調が悪いときに撮ってもいいものは撮れない。
体調が万全の時しか仕事にくるな。いいな？」
「はい！」
どうしても無理をしてしまう三郎への最大限の気遣いの言葉。
三郎は自分がんな素敵な仲間に恵まれていることに、ただただ感激していた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 140人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
7322(プロフ) - yuiさん» yuiさん！コメントありがとうございます！大好きと言っていただけると本当に嬉しいです！もうまもなく完結いたしますが、最後までお楽しみいただけたらと思います♪ (2013年5月25日 23時) (
レス) id: ee69312e20 (このIDを非表示/違反報告)
7322(プロフ) - アリスさん» アリスさん、コメントありがとうございます！今回は私が大好きなさぶくんとしろちゃんの絡みが多くなるかなと思います！もちろん他の兄弟の絡みも含め、ほのぼの優しいお話を書けたらと思います！またよろしくお願いします！ (2013年4月11日 21時) (レス) id: ee69312e20 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 新章、嬉しいです。四朗くんのちょっとした変化に気づいちゃう三郎くんが、なんだか・・もう！！ってなります。敏感なんだろうな〜って。これからも素敵な兄弟愛のお話、楽しみにしています☆ (2013年4月10日 22時) (レス) id: 290a5b010d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みぃ | 作成日時：2013年4月10日 21時
