＊ツリーハウスの住人６＊ (ページ13)

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翔side

早く……早く、あの人の元へ…

足が空回りしそうな程気持ちが先に先にと行く

息が切れて苦しくても止められなかった

まさか居なくなってたりしないでくれよ…なんて
怖い想像まで頭をよぎって余計に…

やっとの思いで中庭に戻ってきてちとせさんの姿を探すと…

花壇の向こうに見つけた人影が…

二つ？

翔｢……ﾊｧﾊｧ…ｯ……ちとせさん……と、ニノ！？｣

なんでニノが…

和也｢翔ちゃん、おかえり｣

ちとせ｢そんな息切らして…さっきから走ってばっかりね、翔は｣

翔｢いや、誰のせいだと思って…

つか、なんでニノと一緒に？二人知り合いだったの？｣

同じベンチに、人一人分の距離をあけて座る二人

見慣れなさ過ぎるツーショットに、ただただ困惑する俺

和也｢俺の大切な人の探し人なんですよ｣

ちとせ｢探され人だったみたい｣

翔｢……どういう事？｣

ニノの大切な人って…夏恋ちゃんってこと？

え、待って全然理解が追いつかないんだけど…

和也｢まぁまぁ、とりあえず 2人で話さなきゃいけないことたくさんあるんじゃないんですか？

とりあえず翔ちゃん座って、ほら！｣

そう言うと、自分の座っていた所に俺の腰を降ろさせてからポンポンと両肩を優しく叩かれた

和也｢じゃあ、ごゆっくり｣

翔｢ちょ……ニノ…｣

戸惑うばかりの俺に、安心したような笑顔でその場を立ち去って行ったニノ

状況が読めなくて少し黙り込んでしまって、先に口を開いたのはちとせさんだった

ちとせ｢やっぱり翔の周りには優しくて暖かい人がたくさん集まるのね｣

翔｢……ニノと、何か話したんですか？｣

ちとせ｢少しね｣

翔｢何を話したんですか？｣

ちとせ｢何…って事なはないけど、翔の話とか？｣

翔｢俺の？え……ニノ何か変な事言ってました？((汗｣

ちとせ｢ううん………あのね、翔私…｣

俺はちとせさんに目線を送るけど
ずっと目を合わさずに、斜め下に目線を落とすちとせさん

あのねのその言葉から少し声色が変わり
それに合わせて俺もちとせさんの言葉により耳を傾けた

ちとせ｢私、ずっと翔に…言いたかったことがあったの……

それを伝える為に私、この街に帰ってきたの｣

翔｢伝えたい事……って、なん……ですか…？｣

ちとせ｢それは……｣