・ ページ17
謙杜side
憂鬱で憂鬱で仕方なかったけど、さっきのおにーちゃんの怖い顔を思い出したら、学校休めんくて。
ギリギリに教室に入れば、僕の机はひっくり返されとった。はぁ、なんなのもう。
大声で悪口言われるのもグッとこらえて。お昼ご飯だって屋上で1人で食べて。そりゃ寂しいけど、もう慣れてもうたな。
「お前、ちょっと待てよ。こっち来いって」
「え……なに、なん、ですか…っ」
「いいからいいから、楽しいことしよーぜ」
チャイムが鳴って急いで帰るつもりが、やっぱり捕まっちゃった。小さくため息をついて大人しく着いて行けば、誰も使わないような、別館の地下のトイレ。
嫌な予感しかせえへんのやけど…って立ち竦んでたら、急に背中を強く押されて個室に入れられた。あかん、って思って振り返ったときには扉は閉じられてて、外から何かで押さえられてて。
「…さいあくや……っ」
「えぇ〜何〜？聞こえないんだけど〜」
「なんでも、ない……」
扉叩いたり叫んだりする気力もなくて、半ば諦めの気持ちでずるずると壁伝いに座りこんで。何を言っても言い返さん僕にイラついたのか、大きく舌打ちが聞こえる。
そのまま飽きて帰ってくれればええのに。そんな思いとは裏腹に、ジャーっと勢いよく水が流れる音が聞こえたと思ったら、急に感じる冷たさ。…………うわ、水かけられた。
「お前何とか言えよ！ムカつくんだよ」
「……っ」
「寒いとか冷たいとか感じないんじゃね？もっとやってやろーぜ」
そんなわけあるかよ、なんやねん。ちょっとはイラっときたけど、言い返す方が負けな気がして黙っていれば、また大量の水が降ってくる。うわぁ、びっしょびしょ。
そんな時間が、たぶん30分くらい続いて。何も言わない僕に呆れたのか、また大きく舌打ちをしてあいつらは帰って行った。
僕はといえば、頭からびっちゃびちゃ。制服も、靴下までびちゃびちゃで、冷え切っちゃって。
「………っ、は、さむ……」
これまた濡れてもうた鞄からハンカチを探し出して拭いてみるけど、そんなの気休めにしかならんくて。スマホの時刻を見れば16:24。まだ、部活はやっとるな……。
体の芯からぞわっと寒気がして、じんわり頭が痛なってきて。早く帰ってあったまらなあかんって思うけど、人がいる中こんな惨めな姿で歩きたくないし、なにより体がだるくて動けん。
泣きそうになりながら、ぎゅっと体を縮こめて体育座りをして、顔をうずめた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 239人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柚羽(プロフ) - ちゅきちゅきさん» ありがとうございます！そう言っていただけてとても嬉しいです🥹💛 (2022年12月24日 10時) (
レス) id: 9997f70d34 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅきちゅき(プロフ) - 各コンビとの短編集？天最高です！毎日の楽しみになりました😍 (2022年12月23日 13時) (レス) id: 1b2f475238 (このIDを非表示/違反報告)
柚羽(プロフ) - Rioさん» ありがとうございます…！🥺お返事できておらずごめんなさい…！夕暮れさんとても人気なので近いうちにまた書くと思いますー！！🫧 (2022年12月15日 0時) (レス) @page39 id: 9997f70d34 (このIDを非表示/違反報告)
Rio(プロフ) - 主様のお話大好きで何回も読んじゃいます！！また夕暮れのお話待ってます🥺🥺 (2022年11月26日 20時) (レス) @page36 id: 9d6c92ab72 (このIDを非表示/違反報告)
柚羽(プロフ) - おもち。さん» ありがとうございます🥹おもち。さんも続編公開おめでとうございます！楽しみにしてます♡ (2022年10月13日 23時) (レス) @page5 id: 9997f70d34 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柚羽 | 作成日時：2022年10月13日 18時
