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黄
薬を投与すると
体がふわふわした感覚になって
痛みや不安が少し消える
ベットのリクライニングを起こして大毅からの手紙を読む
[淳太へ
俺は明日手術します。
怖くて怖くて堪んないけどトモとオトンが居るから頑張ります。
淳太は今何してますか?生きてますか?
俺が元気になる前に死んだら許さへんからな
嘘。嘘やで(笑)
今までありがとう。淳太の分まで長生きするな]
お世辞にも上手いなんて言えない字でそう書いてあった
死にたくないなんてもう思ってはいけないのは分かってるけど
こんな俺にも「大丈夫」って声をかけてくれる人が居るんやなって
人の温かみに触れてしまうと決心が揺らぐ
俺は死ぬためにここに来た
もう悔いはないし
病院で死ぬくらいなら
身の回りの整理を全部して
俺という存在が跡形もなく消えるくらい
静かに死にたかった
大毅と出会って俺の人生に光が差した
学校の話、友達の話、家族の話
俺に無いものを持ってる大毅は沢山話してくれた
聞いているうちにそれを欲しいと思った
それが生きる活力になってた
結局、何も得ることが出来なかった
でもこれだけは言える
大毅は俺の友達で親友や
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時間は何故こんなにもゆっくりと
でも確実に進み続けるんやろう
手紙を受け取ったあの日から
俺は歩けなくなった
だんだんベットの上にいる時間が増え
眠っている時間も増えた
死の世界が頂上やとして
普通に生きている人間が1合目だとしたら
多分今の俺は8合目辺りやと思う
感情はだんだんと無くなってきて
死ぬことへの恐怖なんてもうほぼゼロに近い
黄「あの…」
「はい。どうしましたか?」
黄「いつもより強めの…薬入れてくれませんか?……どうしてもやりたいことがあるんです」
「副作用ありますが大丈夫ですか?」
黄「はい…今日じゃなきゃ…ダメなんで……」
強めの薬の影響で久しぶりに起き上がる
携帯のカメラをセットして
大毅への最期のビデオメッセージ
今日は大毅が一般病棟に戻る日って教えて貰ってたから
大毅の手術の成功を祝福して
感謝の気持ちを述べて
だんだんと出てきた薬の副作用から逃れる為に
俺は静かに目を閉じた
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桐山めぐ(プロフ) - 完結おめでとうございます!それから、素敵な作品に出逢わせてくれてホントにありがとうございます♪何度も泣きました。これからの作品も楽しみにしていますね♪ (2020年7月30日 9時) (レス) id: 0f3a9041d9 (このIDを非表示/違反報告)
raf.(プロフ) - 七星さん» コメントありがとうございます!物語も終盤です。最後までよろしくお願いします!! (2020年6月25日 4時) (レス) id: 75a74ec2d8 (このIDを非表示/違反報告)
七星(プロフ) - 続きが気になります!応援してます! (2020年6月19日 18時) (レス) id: 669d995560 (このIDを非表示/違反報告)
raf.(プロフ) - 青ジャス民さん» コメントありがとうございます!物語も佳境を迎えてます。引き続き応援よろしくお願いします(^^♪ (2020年6月3日 18時) (レス) id: 75a74ec2d8 (このIDを非表示/違反報告)
青ジャス民 - 続きがとても気になります!更新頑張ってください (2020年5月30日 10時) (レス) id: 9a6d1c8bcc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:raf. | 作成日時:2020年3月31日 21時