Treasure (ページ4)

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Akito

今後どうするか悩んでいる間に

俺の体は明らかにおかしくなった

扁桃腺が腫れ高熱が続いたり

朝、突然声が出なくなったり

咳が止まらず痰に血が交じっていたり

明らかすぎる体の変化に少し怖くなっていた

ガンと教えられてから三日後

ツアー後初めてのメンバー全員での仕事

橙「おはよ…」

俺が着いた時には全員が揃ってて楽屋に入った瞬間みんなの顔が俺を向く

紫「大丈夫？」

橙「何が？」

トイレでたまたま出くわした濵ちゃんが聞いてくる

紫「俺でも分かるくらい顔色、悪いで？」

橙「ちょっと体調崩してんねん。まぁ大丈夫よ」

紫「そう？ちゃんとやばくなったら言うんやで？」

急に真面目な顔して俺の肩を叩いで颯爽と出ていく

弱ってるときやからかな

知ってたけど濵ちゃんの素の優しさが

傷だらけの心が少し癒された気がした

頼ってもいいのかな…

「WESTの皆さん撮影始めまーす」

スタッフさんの掛け声でみんな一斉に立ち上がる

フラッとしたとこを隣にいた流星がすっと支えてくれる

青「珍しいな、笑」

そうとだけ言って楽屋を出ていく流星にも多分気づかれてる

意外と周り見てるしなアイツ

重い体を必死動かし撮影が始まる

「桐山さんお願いしまーす」

俺は割と1番なことが多いからすぐ呼ばれてカメラの前へ

いつもはそない気にならへん照明が今日はめっちゃ気になって

俺の様子を見てるメンバーの顔は笑顔が少ない

俺、心配かけてる…

そんなことが脳裏に浮かびながら仕事だと切り替え必死に笑顔を作る

「OKです！」

その声でメンバーの元に戻ると真面目な顔した淳太くんが俺に体温計を差し出してきた

黄「測って」

橙「え？大丈夫やで、笑

みんな大袈裟やねん」

そう笑っても淳太くんの真っ直ぐな目は全く揺らがない

渋々、脇に体温計を挟む

紫「念の為な」

赤「風邪ひいても誰も帰れなんて言わへんよ」

撮影が始まって

久しぶりに7人で集まれる日やから

俺が意地張ってまで最後まで撮影を続けようとすることなんて

みんなにはバレバレやった

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