初恋 -R.F-

２４． ページ24

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ryusei









生まれたころから



俺はひとつの宿命を背負って生きてきた









「20歳まで生きられない」



たまたま耳にしてしまったその言葉



その重みを知ったのはあの人が死んでから








今でもたまに夢に現れる



あの素敵な笑顔と艶やかな髪の毛




魂から語りかけるような力強い音色と




繊細な指使い




そして、どこか悲しそうな顔









彼女は今から5年前に死んだ



20歳だった









胸には大きな傷があり



その身体を見る度 背負った宿命を甦らせる







「あと3年…」



お風呂で一人呟き



自分の宿命に怒りを覚える








あと3年で何が出来るのだろう…



正直、何も想像がつかず



この問題に答えは見つからない









俺は知ってる



朝と夜飲む薬の量が年々増えていっていること







俺は知ってる




夜な夜な両親が俺の病気の治療法を探っていること








俺は知ってる



俺が大人になれないってこと








俺は




俺は




知らない




どうやって笑顔で悔いなく




死ねるのか









月に一回ぐらい



恐怖で涙が止まらなくなる時がある






どう生きるのが正解なのか






今俺には好きな人が出来た






あの人に似た大好きな人






本当に付き合っていていいのだろうか






このままだと彼女に迷惑を掛けてしまうのではないか





不安ばかりが頭をよぎる









ほのかに感じた胸の痛みを誤魔化すように



布団を被る








残りの3年くらい



笑顔で暮らせますように







そんな



平凡なことだけを願って








また、明日を迎えられるように祈って




眠りについた









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